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第1話 薔薇姫の話
美しい薔薇が咲き誇る庭園に、一人の女性が立っていた。
燃え上がるような真っ赤な髪をしている。
その女性は世界で一番薔薇が似合う姫として、薔薇姫と呼ばれている。
しかし、ある時薔薇姫は病によって倒れてしまう。
どんなに美しくあっても、病はすべての人から平等に生を奪っていく。
薔薇姫が倒れたのをきっかけにして、様々な場所に同じ病が広まっていった。
人々は薔薇姫の呪いだと信じ、病の終息を願って、彼女をまつる赤の宮を作り美しい薔薇を束ねて作った花束を供えることにした。
人々の願いがかなったのか、多くの人を苦しめた病は、その後たった数日で終息していった。