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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第三章 アールストーン校外学習
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17.班編成【班編成の裏事情】


 フィーナは暗黙の了解的な相手の立場に関係なく、物申したいことを口にする。


 どのように進言しよう――。


 そう考えながらやきもきしていたジェフにとってはフィーナの対応が、新たな世界が開けた程の衝撃があった。


 フィーナの性格、相手方も彼女の裏表ない性格を理解したうえで成り立っている関係性なのだろう。


 フィーナがカイルに苦言してくれるのが、ありがたいと思うようになっていた。……真似したいとは思わなかったが。


 フィーナの手法は、互いが信頼しあえている状況で有効であり、同じことをジェフが行っても効果ないばかりが、処罰の対象となる可能性もあった。そうした影響を鑑みると、フィーナはカイルに物申してもお咎めがない、ありがたい存在なのだ。


 結局、その日はカイルを覗いた面々で、それぞれ受け持つ事項の確認と、相談が行われた。最終判断は、カイルが「通常仕様」に戻ってから行おうと話しあっていた。


 そうした相談しながら最終決定に持っていこうとする流れの中で、サリアから相談が持ちかけられた。サリアは女生徒の班編成を受け持っている。親の仕事の関連もあって、フィーナよりよほど生徒ひとりひとりを知っていて、家族、家の仕事関係も熟知していたことから、適任だろうと任されたのだ。


 任された仕事に関して、サリアは不満はない。頭を悩ませることもあるが、フィーナがだんどって、当日、トラブル多発となるより、事前準備に自分が口をはさめて、変更を望める方が気が楽だった。


「班の編成なんだけど――」


 言ってフィーナとジェフ、カイルに出された紙面には、いくつかの班の構成員が書かれていた。


 班は基本三人で組まれている。日中は女生徒班、男生徒班が組んで行動し、就寝は同性徒班二班が同じコテージを使用するようになっていた。


 カイルは差し出された紙面に目を向けているが、ただ眺めているだけで何も考えていないだろう。


 サリアはそう思いつつ「この班」と一つの班を指さした。


 それを見たフィーナが「あ、ラナ」と小さく呟いた後「……あれ?」と首を傾げた。


「あとの二人って……」


 フィーナの言わんとしたことを理解して、サリアは頷いた。


「仲がいいとは思えないのよね」


 ラナと同じ班員は、ラナの伴魂騒動の首謀者と思われる女生徒二人だ。騒動後、互いに当たり障りのない関係で静観していると聞いていたが、ラナが彼女らと同じ班を望むとは思えなかった。


 ちなみに、運営陣は同じ班と決まっている。コテージも同じで、そこには教師も同室者となる。運営上、何かと連絡が付きやすいようにと、毎年決まっているとのことだった。


 班編成は生徒たちの希望の元、申請される。基本的に希望はそのまま通るのだが、時折、人数の都合上、手を加えられることもあった。サリアはそうした班の、コテージでの同室者編成にあたっていた。


 紙面を見る限り、何の問題もないのだが……サリアにはどうも気になって仕方なかった。


「あと……噂も、耳にしてね」


 ――班に自分たちより身分の低い者を入れて、その者に身の回りのことをさせればいい。


 上級生や卒業生から聞いた話として、水面下で噂が広がっているらしいのだ。


「何をバカな」


 ジェフが呆れかえっていた。ジェフは騎士志望なので、貴族籍としては珍しく、自身の身の回りのことはそつなくこなせる。


 ジェフのような生徒は珍しいのだ。だからこそのアールストーン校外学習でもあるのだが……人任せでは主旨が違ってくる。


 サリアは同席する教師に目を向けた。


「実際、これまではどうだったのですか?」


 突然話を振られた教師は「え!?」と、戸惑いを滲ませていた。


 カイルの手前、どう答えればいいのか、思案にくれているようだった。


 答えられない教師に、サリアは嘆息するとともに確信を深めた。


 違うなら「違う」と答えればいいだけなのに、何と答えればいいかと考えているところを見ると、実際、そうだったのだろう。その辺りは問題にならない限り、黙認されてきたようだ。


 ジェフも感づいたようだ。


 カイルはどこかぼんやりとしているので、気付いたかどうか、はっきりしない。


 サリアは「どうだったのですか?」と、しきりに教師に返答を求めるフィーナを諌めて、改めてカイルに向き直った。


「先ほど言った『側仕えを同行させて欲しい』との嘆願書は、やっぱり受け入れられない?」


「ダメだ」


 ぼーっとしているように見えて、判断は早い。ぼんやりと反応が遅い時と瞬時に返答があるときの違いが良く分からなかったが、今回の判断は変わりないのだろう。


「このような班編成をされると、負担がかかる生徒と任せきりの生徒が生じて、結局校外学習の意味がないわ。私たちが目が届く範囲も限られてる。

 任せきりの生徒には側仕えを同行させるのと変わりない状況になるし、逆に負担がかかる生徒がいることを考えると、側仕えがいた方がいいくらいよ」


 サリアの話を聞いていたジェフは、自分が任されていた男生徒の班編成を見直していた。


 そして男子生徒にもサリアと同じ状況が生じていることに気付いた。


 こうした状況を考えるのなら、側仕えの同行を認めて再度、班編成を申請し直させた方がいいのではと、フィーナもジェフもサリアと同じことを考えたのだが、カイルは渋っていた。


 王族としては校外学習の本来の意味を違えたくないのだろう。


 サリアもカイルの意向は考えていたようだった。




何か、話が小難しくなってますね……。

早く魔法を使う場面もしたいのですが……。

もう少し先かな?

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