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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第一章 魂の伴侶
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8.オリビア


 裏庭で倒れたフィーナが目を覚ました時には、アルフィードは宮中に戻っていた。


 フィーナは三日間、眠っていた。それから数日、家で静養していたのでほぼ一週間、外出しなかったことになる。


 目を覚ましても、しばらく静養したほうがいい。それはアルフィードからの提案だった。


 アルフィードがフィーナの外出を控えるように提案したのは、体調を考慮した部分もあったが、それよりも確認したいことがあったからだった。


 はっきりするまでは外に出ないように、家族以外との接触を避けた方がいいとの思いがあった。


 アルフィードは休日は、昼近くに帰宅する。王宮から出て街から馬車に乗ってくるので、早朝に出たとしても時間がかかってしまう。


 しかし、その日はエルド家が朝食を終えた時刻と、想定より早い時間にアルフィードは帰宅した。


 ……思いもしない同行人を連れて。


「……ただいま」


 遠慮がちに家の扉を開けたアルフィードに、最初に気付いたのは、母のロアだった。


「ずいぶん早いじゃない」


 アルフィードを出迎えようと家の出入口まで行ったのだが……そこでピシリと動きを止める。


 不思議に思ったリオンがその後に続いて、ロアと同じように硬直する。


「どうしたの?」


 最後にフィーナが口に含んだミニトマトをもごもごと食べながら、扉に続いた。


「食べながら話してはダメ」と日頃口うるさい母も、今は咎めて来ない。


 扉の前で硬直する両親の間から、フィーナはひょっこりと顔を覗かせた。


 そこから見えた光景に、フィーナは驚きに目を大きく見張った。同時に、姉と並び立つ人物を見て、その名を口にしていた。


「オリビア様!」


 家の前には戸惑いの表情をにじませたアルフィードが立っている。後ろには質素な造りながら質は良いものだろうとうかがい知れる、馬車が停車していた。


 早く帰宅できたのは、宮中からここまで馬車で来たからだ。


 馬車の前、アルフィードの隣には同じ年齢ほどの品のある女性が並び立っている。


 馬車は彼女の所有物だ。


 アルフィードの元級友であり貴族なのだとフィーナは聞いている。


 身分関係に無頓着らしく、アルフィードを親友だと公言していた。


 アルフィードもオリビアを友人として慕い、同時に仕える主として尊敬もしていた。


 シンプルながらもスカート姿のアルフィードと異なり、オリビアは簡素ながらも騎士を思わせる服装に身を包んでいる。


 シルバーの髪はうなじで一つにまとめて、髪と同色の瞳は、好奇心を湛えていた。


 オリビアはフィーナに気付くと「元気そうね」と顔をほころばせた。


「寝込んでたと聞いていたけれど」


「もう大丈夫です」


 オリビアに手招きされて、フィーナは側に駆け寄ると、足元に抱きついた。


 アルフィードと同じく、フィーナの頭がオリビアの腰のあたりになるほどの身長差がある。


 物応じなく素直に接してくれるフィーナを、オリビアはアルフィード同様、快く思っていた。


 オリビアだから咎められずにすんでいるが、フィーナの言動は通常ではありえないことである。


 大人の常識として理解してるリオンとロアは、フィーナの言動に慌てふためいているが、察したオリビアが先んじて「気にしないで」と声をかけた。


「私が勝手にしていることなのだから」


 普通、オリビアが単身で市井に赴くことは許されない。


 本人がどんなに望んでも許されることではない。


 だと言うのに実際、こうして市井の、しかも農村と大差ない片田舎に訪れている――。


 もしかしたら、側にいる御者や使用人らしき側仕えの二人は武芸に長けた護衛なのでは。


 オリビアの身分を知るリオンとロアは想定しながらも、確認する勇気はなかった。


「今日はどうしたんですか?」


 フィーナはオリビアに尋ねた。聞かれた当人は、ちらりとアルフィードに意味ありげな視線を送る。


 それに気付いたアルフィードは、仕方ないとばかりに小さく息をついて、フィーナと両親に事情を説明した。


「確かめたいことがあって、オリビアに道具を借りたの」


 通常、アルフィードがオリビアを敬称を付けずに名を口にするなど許されないことだ。


 が、アルフィードは、オリビアを敬称を付けて呼ぶことを禁じられていた。


 常識的作法に従うと、当人から叱られるという、訳が分からない状況なのだが「本人が望むのだから仕方ない」とオリビアの両親も承諾しているので、アルフィードも従わざる負えない状況となっていた。


 ちなみに、口調に関しても、アルフィードはオリビアに対するかしこまった物言いを禁じられている。


 ……とは言うものの、二人の関係、これまでの状況を全く知らない他人が同席する場合は「普段と変わらず」のわけにもいかないので、アルフィードには「時と場合によっての使い分け」を求められ、非常にややこしい状況に陥っていた。


 そうした状況に困惑しつつも、こなしてしまうのがアルフィードがアルフィードたる所以でもある。


「確かめ、たいこと?」


 アルフィードとオリビアのやりとりはリオンもロアも慣れていたので、その点に関して追及はしなかった。


 娘の言葉に、両親は首を傾げる。


 アルフィードはオリビアを窺い見て、その視線をオリビアは意味ありげに目を細めて口の端を笑みの形を作るに留めた。


 アルフィードとしてはオリビアに説明してほしかったのだろう。


 だがオリビアに説明する意思がないとわかると、小さく息をついてどうしたものかと思案を巡らせた。


 しばらく考えた後、アルフィードはフィーナに目を向けて――オリビアの反応を気にしながら尋ねた。


「白いネコは、どこにいるの?」




毎日、書いてはいるんですけど、キリがいい所まではなかなか書ききれません。


うーん。私的には書けてる方なんですけどねぇ……。


一人称でないものにしては……。

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