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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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58.貴族裁判 51


『え? 加護与えちゃ、まずかったの?』


「前々から言ってますけどっ! 人には人の準備が必要なんです!

 形式はあってもなくても、結果はほぼ一緒ですけど!

 受ける側の気持ちが違うんです!」


 言いながらシアは、カイルを心配そうに見る。


 カイルは戸惑うばかりだ。


 洗礼は先のことだと思っていたから、父である国王とも母とも、話していなかった。


 洗礼がどういったものかは、オリビアとルディの洗礼に立ち会ったので知っている。


 二人とも、セクルト貴院校卒業間際に行われたので、カイルもその時期だろうと思っていた。


 姉、兄の洗礼は、共に荘厳さを感じた。


 儀式主体だと思っていたが、能力に影響を与えると、初めて知った。


 その洗礼が自身に成されたと知ったカイルは、形式的な儀式が苦手だったので、戸惑いながらも安堵感が大きい。


 カイルはシアを見て、ちいさく頷いた。


 その動作でシアはカイルが不満を感じていないと理解した。


 アグロテウスはアグロテウスで、彼なりの理由があったという。


『加護を与えて、僕たちとの繋がりを作りたかったんだよ。

(この子の伴魂――確認したいことあったから)』


 後半は他の精霊神、精霊教会シルニーファのシア、ゲオルク、カシュートにだけ聞こえるように話す。


 アグロテウスの話を聞いたシアは頭を抑えつつ「――御当主、若頭」とゲオルクとカシュートを呼び、上方に視線を向けた。


 視線の先は、王族席を指している。


 王族の方々、特に国王陛下に説明よろしく。


 ――と、目や仕草が伝えていた。


 ――わかっている。


 ゲオルクはシアをつと見た後、王族席に礼をとって口を開いた。


「陛下。

 尊き方の御心により、想定しておりませんでした、カイル殿下の洗礼が成されました。

 王族の方の洗礼は、国家行事となるほど重要なものだと、重々承知しております。

 ですが――行事として行われる洗礼は、魔力の安定を図るもの。

 精霊神自ら加護を与えるなど――エルディナード公爵家を除いてですが――これまでにほとんど記録にございません。

 異例ではございますが、尊き方の――精霊神の、寵愛を受けて成された洗礼だと認めてもらえないでしょうか」


 国王を含むこの会場に同席する王族たちに、異論はなかった。


 そうして「閉廷」の流れになりそうな時に、ゲオルクが手を上げた。


「この場は上級裁判――貴族裁判で、間違いございませんか」


「ええ。そのとおりにございます」





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