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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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46.貴族裁判 39


 この場に同席する貴族籍達も同じだろう。


 知っていたのに今まで知らなかった――気付かなかった。


(――『「知らない」と第三者が暗示をかけてたんだろ』)


 と、マサトは言う。


「バカなっ!」


 信じられないのは、カディス・フォールズも同じだった。


 目の前の机を叩いて立ち上がる。


「フィーナ・エルドがエルディナード家の者だとの証拠がどこにあるっ!」


 言うだけなら誰でもできる。


 カディスの発言を聞いて、未だ混乱している者は「それもそうだ」と同調した。


 ――同調しながら、本能的部分で「真実」だと理解している。


 理解しているが、不明な点が多すぎて、信じきれないのだ。


 シアが挑戦的な暗い笑みを口元に浮かべて、口を開こうとしたとき。


「私が、証明する」


 告げたのは、国王、グレイブ・ウォルチェスターだった。




       ◇◇      ◇◇




 声は、上空から降りてきた。


 王族は裁判席、傍聴席から見えない上方の席に座っている。


 一度存在を明かした席付近から、声は聞こえた。


「フィーナ・エルディナードの祖父、ゲオルク・エルディナードは、血筋は遠いが私の血縁者だ。

 彼の婚姻相手が、エルディナード公爵家だった。

 建国以来、エルディナード公爵家の役割は重要だ。

 貴族籍の洗礼を行う精霊教会シルニーファ

 精霊教会シルニーファをエルディナード公爵家が統括していた。

 ゲオルク殿が精霊教会シルニーファ司祭の衣装なのは、それに関連してのことだろう。

 私はゲオルク殿を見知っている。

 彼は間違いなくエルディナード公爵家の者であり、彼が孫と言うなら、フィーナ・エルディナードは上位第一貴族に違いない」


 国王の話を聞いて、受け入れる者もいれば、未だ受け入れきれない者もいた。


 受け入れられない者。


 彼らは「いない」と思っていた者が、唐突に「存在する」とされ、長年積み重ねた意識の改変を求められ、適応できない者達だ。


「ところで」


 パンっ!


 ――と、シアが手を叩いて高らかな音を奏でる。


「『エルディナード公爵家を今まで認識できなかったのに、急に言われてもわからない』

 『急に言われてわからないけど、納得してしまう』

 『本能に理性が追いつかない』

 ――なんて、悩んでる方、いらっしゃいます?」


 肯定する明確な返事はなかった。


 戸惑うざわめきが生じた程度だ。


 そのざわめきを感じて、シアは微笑む。






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