表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
671/754

44.貴族裁判 37


「あら~?」と、シアは小首をかしげた。


「勉強不足にも、ほどがありませんこと?」


 うふふ♪ と、かわいらしい声と言動とは不釣り合いな、厳しい言葉をシアは告げる。


「――シア」


 カシュートがため息交じりにシアを諫めた。


「知らなくて当然だ。こちらがそう仕向けている」


「ですが――勘づいた方もいらっしゃいますよ?」


 口をとがらせるシアは、チラリと被告人の弁護席に目を向けた。


 視線の先には、ガブリエフ・スチュードがいる。


 ガブリエフは向けられた視線、会話に気付きながら、泰然と腕を組んで座っていた。


「調べれば明らかになる程度の秘匿でしたでしょう?

 ――調べる行為の怠慢は、罪だと存じます。

 それが人の行いに罪状を下す立場の方ならば、なおさらのことにございましょう?」


 ケタケタと、話す口調は軽い。


 しかし、内容と裁判長に向ける視線は鋭く、顔は笑みを浮かべながらも冷徹さを感じさせた。


 シアの言葉に、裁判長は戸惑いつつ、罰が悪そうに咳払いする。


 シアは裁判長他、同席する面々の怠慢さをチクリチクリと指摘し続けようとしたが、ゲオルクに諫められ、途中で断念した。


「それでは――。

 この場より、フィーナ・エルド、改めまして、フィーナ・エルディナードとして審議くださいませ」


(あ……略称ってそういうこと……)


 人知れず


真名まことなって何?」

「略式名称? 正式名称? 名前に違いってあるの?」


 ……と、困惑していたフィーナだったが、シアが告げた「フィーナ・エルディナード」を聞いて、安堵した。


 エルディナード → エルド。


 長いから略されたのだろう。


 裁判という公式な場だから、正式名称を申請したといったところか。


 安堵するフィーナとは逆に、廷内はざわめき、動揺が走った。


(――『そういう仕掛けか……。とんでもねーな』)


 意識下で聞こえた苦いマサトの声に、フィーナは戸惑う。


(――「な……何のこと?」)


(――『上位十二貴族。覚えてるか?』)


(――「もちろん。お姉ちゃんにたたき込まれたもの」)


(――『なら、上から順に言ってみろ』)


(――「順にって――。

    第一位上位貴族は失われた一族ロストクランだから、一族名なんて――」)


 サヴィス王国の貴族籍の中でも、高貴とされる家がある。


 上位十二貴族。


 公爵、侯爵、伯爵等、他の貴族籍と一線を画した格式高い家だ。


 しかし、第一位は長らく空席となっている。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ