39.学年寮長【お友達申請】
(2019.7.19)
すみません……。
話を飛ばしてました……。
重要な部分ではないですけど、ないとちょっと「?」的な部分があります……。
ひととおりの話が終わった後「そういえば」とローラがサリアに尋ねた。
「アルフィード様に報告って、どういうことなん?」
サリアが副寮長を受け入れたのは、アルフィードに報告することで、サリアの働きぶりを知られる話だったのは、ローラにも理解できたのだが、女性寮に関係のあるオリビア様だけでなく、アルフィードにも話が及ぶ理由が、ローラには理解出来なかった。
その話を聞いて、ローラはフィーナとアルフィードの関係を知らないのだと、サリアもフィーナも思い至った。
「フィーナはアルフィード様の妹君になるのですよ」
「アルフィードは姉です」
「……なんやて?」
サリアの説明とフィーナの申告に、ローラは目を丸くした。
「これが……『ドルジェの聖女』の妹?」
「ローラ様、そのような物言いは……」
ラナに諌められてハッとしたローラは、すぐに謝罪したが、フィーナもローラの思いはわかるので「気にしないでください」と告げた。
これまでに幾度となく耳にしてきたアルフィードの二つ名だが、姉として『聖女』らしからぬ素行も知っているので、未だに違和感をぬぐえない。
対外的な顔はそつなくこなしていたのだろう。
(カイルも、お姉ちゃんの素の顔、知ってるのかな……?)
アルフィードに思いを寄せるカイルのことが、ふと脳裏をよぎった。
『ドルジェの聖女』としてのアルフィードを慕っているのだとしたら、フィーナとしては残念な思いに駆られてしまう。
何でもそつなくこなせると思われがちなアルフィードだが、決してそうではないのだ。
微笑ましいドジもふんでしまう。そうした姉を受け入れてくれればいいのだが……幻滅されるとしたら、悲しくなる。
「なるほどな。サリアが言うように、フィーナが寮長になるんが最善やん。
王女様に繋がる後ろ盾持ってるんやから」
アルフィードがオリビアの側仕えというのは、広く知られることのようだった。
「確かに、その点もありますけどね」
ローラの発言に、サリアも苦笑交じりに同意した。
オリビアとアルフィードの性格上、必要以上の手助けは望めないが、威光は相手側が勝手に思慮してくれるだろう。そうした打算を、サリアは考えていた。
自分たちがひけらかすことはないが、相手側が勝手に考慮したことを訂正したり諌めるつもりもない。
「フィーナ、アルフィード様にもうちらのこと伝えてもらえんやろか。
フィーナにもそうやが、アルフィード様にもオリビア様にもサービスさせもらうわ。
ラナが世話になったお礼に、注文受けた品には、いくつかのオプションを無料でさせて頂きたいっちゅうてな。
アルフィード様にはラナがお世話になったし、アルフィード様を派遣して下さったオリビア様にも恩があるんや。
ホントは衣装の一つや二つ、無償提供したいくらいやけど、過ぎた礼は受け取らんお人やと聞いとるからな。
オプション無料くらいさせてくれと話してくれんか?」
言いながら、ローラの目の奥が、商人特有の光を帯びていたことに、サリアは気付いていた。
王女に衣装提供した、その衣装が周囲から絶賛を受ければ、ローラとラナの名を売り込むことに繋がる。
オリビアもそうした事情を知っているので、一つの商店の過ぎた施しは受けないようにしていると聞いている。
ローラの提言は、野心的な部分が透けて見えるものの、言っている内容は素直な謝礼だ。
それを受け取るかどうかは、オリビアとアルフィードが考えることだろう。
ローラの思惑に気付かないフィーナは、謝礼ということで、素直に「伝える」と返事をしていた。
「サリア。あんたにもサービスするからな」
「その時はお願いします」
元々、バーンスタインに衣装を頼むことが多いので、オプション無料はありがたい申し出だ。
サリアはローラの申し出を快く受けた。
そうした話をしている時、ラナがもじもじしながら、フィーナに声をかけた。
「フィーナさんが衣装を頼んでくれた際には、最善を尽くします。それで……お願いがあるのですけど……その……おこがましいお願いなのですが……お友達に、なって頂けないでしょうか……」
顔を赤くしながら、もじもじと話すラナに、フィーナは衝撃を受けた。
驚きに顔を強張らせ、体を硬直させるフィーナに、ラナが赤くしていた顔を青くして「出過ぎたことを言って申し訳ありません」と謝った。
その言葉を聞いて、フィーナはハッと我に返って「いや、そうじゃなくて」と泡食っている。
そして「どどどどうしよう」と冷や汗を流しながらサリアに助けを求めた。
「セクルトで初めて『お友達申請』されちゃったっ!」
「どうしたらいいの? 私なんかが受けちゃっていいの!?」
――と、泡食っている。
そのフィーナの言葉に、ぴくり、とサリアの眉が動いたが、フィーナはそれに気付いていない。
「私に聞くことでもないでしょう? ラナが嫌なら受けなくていい。嫌じゃなければ受ければいいだけでしょ?」
ため息交じりのサリアの言葉に、ラナは「嫌だったら受けなくていい」とサリアが言ったところでシュンと肩を落としていた。
「嫌なわけないよっ! これからも仲良くしてね? 私、変わってるらしいけど、見捨てないでね!?」
「一応、自覚はあるんやな」
フィーナの言葉に、ローラが苦笑を浮かべる。
(2019.7.19)(※前書きと同文章です)
すみません……。
話を飛ばしてました……。
重要な部分ではないですけど、ないとちょっと「?」的な部分があります……。