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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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42.貴族裁判 35


(やっぱり――)


 怖くて後ろを振り返れなかったフィーナは、マサトを通じて感じたアルフィードの声で確信を深め、嘆息した。


 二人が入廷した時から、感じる気配で祖父と叔父ではないかと思っていた。


 思ったが――気付かないふりをしていた。


 というのも、二人から怒気を感じたからだ。


 フィーナが理不尽な裁判に巻き込まれているのが、腹立たしいのだろう。


 祖父ゲオルグと叔父カシュート。


 二人だとわかったらわかったで、フィーナとアルフィードは困惑した。


 ゲオルクとカシュートが精霊教会シルニーファの司祭だと聞いたことがない。


 フードをはずしたゲオルクとカシュートを見て、二人を見知っているカイル達も驚いている。


 驚いたのはカディス・フォールズもだ。


 カディスの場合、驚くと同時に激しく動揺した。


(フィーナ・エルドの――保護者だと……!?)


 フィーナ・エルドがセクルト貴院校に入学前から、身辺を調査していた。


 入学前は「珍しい伴魂持ち」「ドルジェの聖女の妹」の認識だった。


 その後、入試の結果、クラスの割り振り、スーリング祭参加、女子寮の学年寮長等、ことあるごとに調査書を読み返したが「精霊教会シルニーファ」の単語は一度として見ていない。


 フィーナとアルフィードの反応を見るに、二人とも身内に精霊教会シルニーファ関係者がいると知らなかったようだ。


 カディス・フォールズは、危うい立場に転じたと察すると同時に、困惑した。


 カディス自身、セクルト貴院校を卒業間際、精霊教会シルニーファによる洗礼を受けている。


 洗礼の儀式は厳かで、神聖な雰囲気だったと印象に残っていた。


 その場の雰囲気、伴魂を通じて感じる気配から、儀式を取りなす司祭は、高い魔力を持っているとカディスは感じた。


 だから、わからない。


 なぜ、魔力の低い庶民が、貴族籍と同等の――もしくはそれ以上の――魔力を保有する精霊教会シルニーファの司祭なのか――。


「ゲオルク……殿――?」


 つぶやく声は、上方から降ってきた。


 本人も無意識だったようだが、声は裁判席にも届いた。


 声につられて見上げると――王族の席から、身を乗り出してのぞき込んでいる人が見えた。


 下階からは天窓からの光が逆光となって、身を乗り出すのが誰か、わからない。


 声は建物の造りによる反響で、はっきりしない。


 フィーナも眩しさに目を眇めながら見上げていると、後方から声がした。


「お久しゅうございます。国王陛下」


 反射的に振り返ったフィーナは、最上級の礼を取る祖父ゲオルクと叔父カシュートを見て、二人に倣い、最上級の礼をとった。





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