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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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37.貴族裁判 30


 追及してはならないと――なぜか思い込んでいた。


 実際、アルフィードは王宮で拉致された。


 アルフィードを救出しようと、アブルード国へ渡った。


 状況、犯人が誰であれ、隠す必要はないのでは――。


 ふと浮かんだ考えを、カイルは頭を振って否定した。


 王族の一人である自分が、王宮での拉致を言えるはずがない。


 黙り込むカイルに、精霊教会シルニーファの女性は「ふむ」とつぶやいた。


「言えない事情があるようですね」


 傍聴席に座る貴族籍の者達も、精霊教会シルニーファの女性のつぶやきと同じ思いを抱き、静やかなざわめきが広がった。


 ざわめく廷内を、精霊教会シルニーファの女性はぐるりと見渡した。


「――裁判長。

 この場は上級裁判――あなた方が言う貴族裁判ですよね?」


 話の腰を折られた裁判長が、渋面でうなずいた。


 裁判長の返事を見て、精霊教会シルニーファの女性は笑みを深める。


「でしたら♪

 今回の裁判は無効ですね♪」


 精霊教会シルニーファの女性の言葉に、廷内がざわめいた。


「裁判長っ!」


 我慢しきれず、カディス・フォールズが声を上げる。


「即刻、部外者の発言を禁じていただきたい!」


 精霊教会シルニーファが助力になると思っていたカディスは、精霊教会シルニーファの女性の発言を、じれた思いで我慢していた。


 自分たちの雲行きが怪しいと思っていたところへの「無効」の声。


 精霊教会シルニーファの女性は首をかしげる。


「部外者――とは、私でしょうか」


「他に誰がいるっ!」


「――裁判長」


 カディスにかまわず、精霊教会シルニーファの女性は裁判長に顔を向けた。


「私が無効だと言った意味、おわかりですよね?」


「は……え……?」


「この場が上級裁判でしたら、形式が整っておりません。

 招集をかけても来られないのなら仕方ありませんが、招集自体、行っていないのなら、無効となって当然でしょう?

 ――さて裁判長。

 招集をかけるべき者、全者に連絡されましたか?」


 裁判長は戸惑いつつ、近くの事務官に聞いて、口を開いた。


「手続きは、なされております。

 原告者であるカディス・フォールズ氏。

 被告者であるフィーナ・エルド嬢。

 事件の関係者であるカイル殿下。

 私どものが招集したのはお三方にございます」


「はい、アウト~♪」


「――は?」


 ケタケタと笑う精霊教会シルニーファの女性に、裁判長がぽかんとする。





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