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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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28.貴族裁判 21


 カイルはガブリエフにムッとした。


「人に迷惑をかける者が王位継承者と言えるか?」


「話がすり替わっております。

 公共の場において、王位継承権という繊細かつ吟味が必要なものを、国王陛下および正妃様に何の相談も無く、多数の前で公にする方を継承者と言えましょうか。

 国王様、正妃様――ひいては御母上の第三王妃様に、まずは御相談されるべきでしょう。

 結果もしかるべき時に、しかるべき場所で明らかとするもの。

 場の雰囲気の飲まれた短絡は、慎み頂きたい」


「それではフィーナが――。フィーナには非がないのだぞ?」


「エルド嬢の考えもお伺いください」


 カイルはマサトを見た。


 マサトはガブリエフとカイルの話を、意識下でフィーナに伝えている。


 即座にフィーナの返答がきた。


『「馬鹿なことしたら許さないから」――ってさ』


「馬鹿なこと?」


『説明しないとわんねーか?』


 言われて、カイルは押し黙る。


 被告席側からフィーナを見ると、眉をつり上げたフィーナに睨まれた。


『「簡単に諦めるな」ってさ』


 渋面で思慮を巡らせるカイルに、ガブリエフはそっと進言した。


「発言される前に、ご相談ください。

 策は講じております。

 私の考えが合っていれば――対策は可能です」


 そう言いながらも、ガブリエフは「策」がどういったものか、明言しない。


「不確か為、余計な混乱を招かぬよう、はっきりしてから話したいのです」


 とガブリエフは告げる。


「その策がうまく行かない時は――」


「優先順位に沿った対応となりましょう」


 非のないフィーナが処断されるだろうと、ガブリエフは言う。


「そうならぬよう、継承権を――」


 継承権を放棄する。


「殿下」


 言いかけたカイルをガブリエフが遮った。


「このたびの国外渡航。

 同行なさる前、陛下からも責任の所在に関し、忠告されたでしょう。

 責任の取り方は一つではございません。

 自らが矢面に立つだけではございません。

 殿下が無理を通したため、他者が罪に問われる。

 自身のわがままで、親しい者が罪に問われるのがつらいとお思いなら、その思いをその身に刻みなさいませ。

 自らの行いが周囲の人々にどのような影響を与えるか。

 身をもってお知りなさい。

 国王陛下は今回のような状況も想定した上で、殿下に問うたはずです。

 ――それでも同行するのか、と。

 国王陛下の深き意図を組めなかったのなら、現状をそのまま受け止めるべきでしょう。

 フォールズが訴えるはフィーナ・エルド。

 フィーナ・エルドの罪となるのも、殿下の責任の取り方となります。

 罪の所在については、エルドと直接交渉ください。

 王位継承権と一学生の処遇。

 何が優先されるべきか。

 子供でもわかることでしょう」




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