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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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18.貴族裁判 11


 セクルト貴院校において、庶民ながら入学試験は次席、その後続けて主席を獲得した。


 姉はオリビア王女の側仕え、自身も王女と親しい。


 珍しい伴魂、魔法も突出した能力を見せている。


 なぜかルディ殿下とも親しくなり、彼の領地での問題だったカジカル被害解決に関与したと聞いている。


 加えて、ルディ殿下の伴魂にもなつかれているという。


 クレンドーム王国王女とも親睦を深めた。


 ダルメルの薄墨インクでは、困窮地への支援の新たな形を提案し、その試みに国王は多大な興味を寄せた――。


 フィーナ・エルドを上手く利用すれば、懐を潤せる匂いも感じたが、それより圧倒的に危機感を覚えた。


 急な変化は様々な箇所にゆがみが生じる。


 フィーナ・エルドがもたらす風が、まさにそれだった。


 カディスはフィーナ・エルドを退学させ、王都への渡来を禁じさせたかった。


 しかし、事は思ったように進まない。


 突けるスキもなく、庶民であるフィーナと繋がりを持てずにいた。


 そうした時に起きたカイルとフィーナの国外渡航だ。


 実際、何をしたかは知らない。


 バーンスタインの娘が入れ込んでいる貴院校生が、同じく国外渡航している。


 フィーナ・エルドも同行したらしいから、物珍しさに浮かされての行動だろう。


 カイルもそれに釣られたのだろう――と。


 カイルが釣られた理由としては弱い気がしたが、成人前の学生だ。


 周囲に知られなければいいと思っていた程度だろう。


 カイルとフィーナの国外渡航を勘づいたカディスは、フィーナ・エルドを追い詰める手段を考えた。


 それが貴族裁判だ。


 カイルもカディスが裁判を申し立てるとは思っていなかったようだ。


(ザイル・ベルーニア?)


 カイルの警護面に関して答弁をした青年を、カディスは知らなかった。


 裁判途中、調べさせて得た情報を聞いて、歯がみする。


 ――オリビア王女の元騎士団員。


   フィーナ・エルドの貴院校入学時の付添人。


   オリビア王女の側近、ディルク・ベルーニアの兄。


   ロイヤル・ナイツに最年少で受かるも、授与式で辞退した偏屈者――。


(まただ)


 なぜかフィーナ・エルドの周囲には人がいる。


 カイル然り、サリア然り、ザイル然り、オリビア然り――ルディ然り……。


 フィーナ・エルドの側の人々が、カディスの関与を難しくしていた。


 ザイルの答弁は、カディスの訴えを退けた。


 同行したのはカイルの意志。


 対策は十分とったし、フィーナ・エルドを責めるのは筋違いではないか。




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