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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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9.貴族裁判 2


 人でなくネコの姿なのだなと思いながら、フィーナは肩に乗ったマサトに声をかけた。


「今までどこにいたの」


(――『それはこっちのセリフだっての。

    何度呼んでも返事しなかったのそっちだろ。

    反応無いし、気配もたどれないしで居場所すらわからなかったんだ』)


(――「そうだったの?

    疲れがひどくて寝てただけなんだけどなぁ」)


(――『寝てたって……体、大丈夫なのか?』)


(――「どうして?」)


(――『連行されて三日たってんだが。

    食事とか、まともな世話、してくれたとは思えないんだが』)


「三日!?」


 思わぬ日数に、思わず声を上げたフィーナは、周囲の注目を浴びて、慌てて手で口を覆った。


 三日。


 その間の記憶がまるでない。


 牢らしき場所に連れられ、半日たつかたたないかと思っていた。


 連行されて、飲食した記憶がないのだが――。


 食はともかく、水分をとらなくても大丈夫だったのか。


 不思議なほど、今も喉の渇きはない。


 飲食物は提供しても、自ら摂取しないなら、そのまま下げそうだが。


 自身の体調を不思議がるフィーナは、建物内に響いた甲高い木槌の音で、一旦思考を止めた。


「静粛に」


 言いながら数度、木槌を叩いたのは、裁判官席の中央に座る中年の男性だ。


 恰幅のいい、灰色のくせ毛の男性は、言いながら建物全体を見渡した。


 フィーナも居住いすまいを正す。


 マサトも足下へ降りた。


 改めてフィーナは建物内を視線だけで見渡した。


 上級裁判所。


 建物はそう名打たれているが、審議される内容から別名が主流となっている。


 貴族裁判。


 貴族籍が関与する事案を審議する場と聞いている。


 刑法民事、どちらでも使用される場だが、審議される内容によって、関係者が異なる。


 貴族籍当人同士、加えて互いの弁護人で審議が終わる場合は小規模室を使用し、判定を下す裁判官も一人だ。


 規模によって大中小の審議室を使い分け、裁判官も内容如何で一人二人三人と変化する。


(――『何でそんなこと知ってんだよ』)


 意識下で上級裁判所がどういったものか、思い返していたフィーナの思考は、マサトにも届いていた。


(――「伝記で見たのよ。誰のか忘れたけど」)


 裁判の仕組みが興味深くて覚えていた。


 上級裁判所――貴族籍が論議する、自分には関わりの無い場所。


 法廷での弁論での攻防に、ゾクゾクする高揚感を覚えた。


(まさか、そこに関わるとは思わなかったけど……)


 思って、げんなりする。





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