8.貴族裁判 1
※サブタイトルと本文の一部を変更してます。(2022.10.30 AM 7:50)
久々に見る日の光が目を刺す。
眩しさに目を眇めたフィーナは、視力が明るさに慣れてから、周囲を見渡した。
(貴族裁判――)
円上の建物は、三階建ての造りになっている。
裁判が行われる場所をぐるりと取り巻いて、席が並んでいる。
一階は関係者席、二階三階は傍聴人の席となっている。
建物一階、中央には証言台がぽつんとあり、向かい側には裁判官席、両側にも席があった。
二階三階の傍聴席は、裁判の様子が見れる造りになっている。
荘厳な造りの建物は、採光も考えられていて、厳かな雰囲気を出している。
言われるまま連れてこられたフィーナは、中央の証言台に足を進めた。
数段高い席に、裁判官とおぼしき男性二人、女性一人が座っている。
左側の席には、こけた頬が目に付く男性と中年男性一人、青年の男性一人が立っている。
右側の席には、カイルとサリア、ガブリエフ、ザイル、貴院校教師が立っていた。
フィーナが入廷した時、二階三階の傍聴席からざわめきが生じた。
驚いて足を止めたフィーナに、後ろから付いてきた兵が、先に進むよう命じる。
渋々ながら、フィーナは応じる。
そうして中央の証言台に立って――二階三階の傍聴席、裁判官、両隣の面々をぐるりと眺めて思った。
「何がどうなってるの……?」
フィーナは何が起こっているのか、状況を理解できていなかった。
◇◇ ◇◇
(寮室で寝たのは覚えてる。
で、そのあと、何かうるさくなって――あ、誰かに連れて移動させられたっけ。
歩けないから二人がかりで両脇抱えられて――で、運ばれた先があの隔離室みたいな――格子のある――牢屋みたいなとこで。
ずっと寝てたから、どんなとこかあんまり覚えてないけど。
今日だって起き抜けに無理矢理連れてこられたから、寮に戻ってからのこと、ほとんど覚えてないんだけど――)
そして今の状況だ。
久々に見た日の光で、ぼんやりとしていた意識が覚醒した。
そうして困惑する。
何がどうなっているのかと。
――と、サリアの元から白い塊がするりと落ちて、フィーナの足下へ行く。
「マサト……?」
傍聴席がざわめいた。
珍しいフィーナの伴魂を見た、貴族達の驚きの声だ。




