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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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7.帰還 7


(疑われる自体が問題なのに)


 人から疑われると「そういう人なのか」と、聞いた百人に数人、思うかも知れない。


 それが先々、どう波及するか、誰にもわからない。


 聞いた者自身もわからない心の奥に、ずっと残る可能性だってある。


 それが後々、フィーナに影響を及ぼすかもしれない。


(フィーナでなければ……)


 フィーナが庶民でなく、端くれでも貴族だったら。


「家名を汚された」


 と、カディスに抗議できる。


 家名は貴族の上下関係なく――実際は上位下位で違いが発生するが――抗議できるほど重んじられるものだ。


 フィーナは市井出身者だから。


 ――庶民だから。


 カディスも「名誉毀損」で逆に訴えられる危険がないと踏んでいるのだろう。


 サリアを含め貴院校関係者は、フィーナ連行を止めきれなかった。


 貴院校関係者が留置所に送られたフィーナを案じる中。


 サリアは即座に行動を起こした。


 最初に兄と父への面会を望む手紙を送った。


 それは緊急時、家族内、独自の機構で送付できるものだった。


 サリアがこれを使うのは初めてだ。


 父と兄に連絡をとる足で、貴院校教師――全ての事情を知る教師陣――と、内密の話の場を打診し、同時にカイルの現状を、教師を通して確認した。


 それでわかった事実は以下の通りだ。


 カイルは帰寮後、フィーナと同じく激しい疲労で寝込んでいる。


 カイルの帰寮は関係各署に通達されたが、面会者はおろか、打診もないという。


(カイル帰寮が確かか、確認せずに動いたってこと――?)


 それほど確信していたのだ、カディス・フォールズは。


 なぜ。


 と、サリアは戸惑う。


 カイル帰寮の通達があったのは、貴院校関係者で、限られた人のみだ。


 カディスは関りのないはずだ。


(ブリジット?)


 カディスの娘、ブリジット。


 彼女が父に情報を与えたのかと一瞬思ったが――「あり得ない」とサリアは思い直した。


 カイルとフィーナ、二人の帰寮は内密に行われ、知っているのも限られている。


 ブリジットはその中に含まれていない。


 カディスの情報源に疑念を抱きつつ「緊急」だからと、自宅帰省を申請した。


 事情を知る教師陣は、即、申請を受理した。


 そうしてサリアは自宅へ急行し、父と兄に助力を請いに行ったのだった。






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