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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十一章 精霊の寵児
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2.帰還 2


 激しい揺れが想定されるので、捕まる場所の確保と、体をクッション的な物で包み、柔らかな物に座り、振動で口の中を切らないように、口に詰め物を入れた。


 ゲオルクとカシュートは「慣れている」と対策は不要という。


 言われるまま、保護対策をしたフィーナ、アルフィード、カイルは、それでも相当の我慢を強いられた。


 振動が激しく、話などできない。


 馬車酔いで気分も悪くなった。


 吐き気までいかなかったのが幸いだ。


 アレックス達が心配したのは、カイル達、荷馬車にのる面々の体調だった。


 アレックス、レオロード、リーサスは長時間騎乗の訓練を受けているので対処できる。


 その彼らも「騎乗より荷台のほうが辛い」と認識している。


 騎乗は馬の上に一人なので、ある程度、自分で操作可能だ。


 荷台は想定できない、大小の振動が不意を打って来るので、対応が困難なのだ。


 フィーナ達は揺れに任せて、目を閉じ口を閉じ、苦難の時間を耐えた。


 フィーナは帰路の道すがら、アルフィードからこれまでの話を詳しく聞こうと思っていたが、話もままならない。


 途中、馬を替え、往路にかかった時間より大幅短縮した時間で、王都に到着した。


 最短距離をとったので、途中、ローラ達商談を追い越したと後で知る。


 振動が激しかったのも、整った遠回りの道より、悪路だが最短の道を選んだからだった。


 帰還したフィーナ達は、それぞれの寮、アルフィードはベルーニア家の別宅にこっそり戻り、一日中寝込んで体調を整えた。


 カイルは王都帰還後、すぐ父である国王に謁見を申し込んだ。


 家族でも、多忙な時期ならすぐには会えない。


 内々の謁見でも、都合がついたのは二日後だった。


 カイル達には幸いだった。


 体を休めることができたのだから。


 カイル、フィーナ、アルフィードが、ザイルと共に国王、王妃、オリビアと顔を合わせる。


 そうして内々に話を進めていた矢先だった。


 帰還した翌日――謁見の前日。


 疲労困憊のフィーナは、寮の部屋で泥のように眠っていた。


 フィーナ達の無事の帰還を喜んだサリアだったが、戻るなり、ベッドに突っ伏して眠るフィーナの疲労を気遣った。


 積もる話もあるが――それは後でいい。


 今はゆっくり休ませよう。


 そうしていた時だった。


 フィーナが初めに異変に気付いたのは、寮のざわめきだった。


 悲鳴や小さな叫び声――無作法な足音が聞こえた。


(何――?)


 疲労で頭も体も上手く動かない。





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