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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
626/754

177.それぞれの事情 61


 嬉しげに『くふふ♪』と、口の端をゆるみっぱなしにはしていたが。


『いや~。

 無理っぽい感じしてたから心配だったけど。

 結果オーライってことだね♪

 大丈夫大丈夫。

 セレ坊、あれでも頼りになるから。

 ど~んと任せとけばいいのよ』


「え……あの……」


『そうとなれば善は急げっ!

 セレ坊に伝えなくちゃ!』


「え!?」


 本意が含まれないプリエラの言葉を、シルフィーは勘違いしている。


 プリエラは慌てて止めようとしたが、シルフィーは飛び立ち、間に合わなかった。


(誤解されてる……)


 思って青ざめた。


 プリエラとしては「セレイスの考えを聞いて、必要ならば協力したい」と言おうとした。


 騎士団でのセレイス、舞踏会でのセレイス。


 彼を見て、武芸に嗜みのある女性が好みだろうと思った。


 プリエラを想うのも、その点をクリアしているからだろうと。


 アルフィード――クラウド――セレイス――。


 公に出来ない関係性を、プリエラも感じていた。


 武芸を嗜み、ルーフェンスの巫女の概要も知っている自分なら、セレイスに助力できるのでは。


 ――セレイスの想いも、加味した上で。


 言った後で、打算的だと気付いて後悔した。


 戸惑い、困惑する間に、シルフィーは飛び立ってしまった。


 プリエラが動揺することしばらく。


 セレイスが、シルフィーの首根っこをつかんで、プリエラの元に戻ってきた。


 シルフィーはしゅんとして、借りてきた猫のようにおとなしい。


 おとなしいというより、気落ちしている。


「これが何ゆうたか知らんけど。

 真に受けんといて」


 眉間に皺を寄せ、セレイスはため息をついてそう告げた。


『ホントだもん……。

 ウソついてないもん……』


 シルフィーは襟口後ろを掴まれて、ぶらぶらと揺らされていた。


 うつむいて口をとがらせ、セレイスに物申す。


 シルフィーの発言に、セレイスはさらに眉を寄せた。


「プリエラが皇太子妃を望むなんて、ありえんやろ」


「え?」


 反射的につぶやいて――プリエラは失言に気付く。


 今の発言は。


 否定が。


 含まれている。


「は?」


 気付いたセレイスも目を瞬かせた。


 ぎくりと体を強ばらせるプリエラを。


 驚きに目を見張るセレイスが凝視して――。


『だから言ったでしょ~~~~っ!!

 この子もセレ坊好きだって~~~っ!!』


「っ!!!

 言ってませんっ!!」


 セレイスに襟首後ろを掴まれながら騒ぐシルフィー。


 シルフィーの発言を、プリエラは即座に否定したが――。


 顔が熱を持っている自覚はあった。 


 戸惑い、うろたえた自覚もあった。




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