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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
605/754

156.それぞれの事情 40


 そんな彼女だったが。


 セレイスの部屋へ消えた小鳥を見た時。


 冷水を浴びたように意識が覚醒し、反射的に体が動いて――ベッドから飛び起きると、セレイスの部屋を激しく開けていた。


「プ――プリエラ?」


 血相を変えたプリエラに、ベッドに腰掛けていたセレイスは驚く。


 彼に構わず、プリエラはセレイスの手にある小鳥を凝視し、無遠慮に歩み寄った。


「ななな……なんやなんや。どうしたん?」


 ずずずいっ。――と。


 無表情で詰め寄るプリエラに、セレイスは手の内の小鳥をかばいながらのけぞる。


「――――なんです、それ」


「は?」


「何なんです? その黒い小鳥」


「こ――これは――」


「なぜ、あの方の気配がするのです?」


「あの方?

 ――って誰や」


「アルフィード嬢です。

 なぜそれから気配を色濃く感じるのです」


 なぜ? なぜ。 なぜ――。


 血走った目で、背後に「なぜ」の語列帯を渦巻かせるプリエラに、彼女のただならぬ執念を感じたセレイスは「降参」して事情を話した。


 アルフィードに「ルーフェンスの巫女」の情報提供を頼んでいたこと。


 有意義な内容ならば、出国の手助けをするとも。


「出国」と聞いてプリエラも驚いたが――その方がいいだろうと思えた。


 館でのアルフィードを、プリエラは知っている。


 あのまま無理をさせられていたら――。


 プリエラは自分を制する自信がなかった。


 そう思いながらも、同時に不思議に思う。


「手助けなどして――大丈夫なのですか?


 巫女の情報を得たいなど――」


 セレイスとルーフェンスの巫女。


 プリエラはオーロッドに今回の任を命じられるまで「ルーフェンスの巫女」もその存在も知らなかった。


 オーロッドは「巫女は国の機密事項」と言っていた。


 極秘裏の巫女と、セレイスの関連が見えない。


 単なる好奇心――にしては、事が露見したときの危険が高すぎて、結果と対価が見合わない。


 セレイスは苦笑して首をすくめた。


「そこは聞かんといて。

 あんさんの為にも」


 知ることで危険が及ぶ――。


 そうほのめかすセレイスの意図を汲んで、プリエラもそれ以上は追求しなかった。


 ――が。


 どのような連絡が来たのか、アルフィードは無事なのか。


 アルフィードの状況は、しつこく追求した。


 セレイスも危険のない部分は答えた。




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