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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
597/754

148.それぞれの事情 32


      ◇◇     ◇◇



「ちょっ……っ! フィーナ!

 声、大きい!

 内密にって言ったのに……!

 マサトにも伝えないでって……!」


「だ……だって!

 内密とか……っ。

 えっと……!

 え!?

 何がなんだかわかんないんだけど……っ!

 でもマサトには私、言ってないよ!?

 ってか、それより――!

 どうしてそうなるの!?」


「そーだよ! 何でアブルードの皇太子が関わってくるんだ!?」


 閉められていたダイニングの扉を勢いよく開けたのは、人の姿になったシンだった。


 伴魂姿では扉を開けられなかったからだろうと思いながら、アルフィードはフィーナを責める。


「マサトには知られないよう気をつけてって、あれだけ言ったのに!」


「い――言ってないよ!

 意識下の疎通もしてない!」


 フィーナは頭を左右に振って否定する。


 否定しながら、それとは別の件に、混乱しているのが誰の目にも明らかだった。


 困惑するフィーナに変わって、シンがアルフィードに答える。


「伴魂には主の大きな感情の揺れは、否応なしに伝わるんだ!

 フィーナにそのつもりなくても、こっちは聞こえてんだ!」


「え!?

 そうだったの!?」


 伴魂と主との関係性を再認識するフィーナは「いや、それより」と、話題の本題に戻った。


「ってか――え?

 皇太子と連絡取りたいって――……」


 困惑、混乱しきりのフィーナの表情には、アルフィードへの疑心も含まれている。


 なぜ、敵対する国の王族と連絡をとろうとするのか――アルフィードは彼らに傾倒しているのか――。


 アルフィードもフィーナの疑念に気づいて、慌てて言いつのった。


「約束したのよ。

 セレイス殿下――あの方が知りたいことを伝えると。

 その代わり――出国の手助けをしてくれるって」


「どういうことだ?」


 眉をよせるシンに――騒ぎを聞きつけて集まった面々に。


 アルフィードは戸惑いながら、仕方なく、セレイスとの話を伝えたのだった。



 

 話を聞いたシンは、眉間に皺を寄せて考え込む。


 アブルードの内情を知らない面々は、話の不可思議さに首をかしげる。


「皇太子ともなる方が、お忍びで他国から人を拉致したということですか?」


 端的にまとめたザイルの言葉は、居合わせた面々の「信じがたい」心情を示した。


 ザイルの疑念を感じながら、アルフィードはうなずく。


「今の自分では知りたくても知れない、魔窟部分に踏み込みたいのだと――そう言っていました。

 セレイス殿下は、ルーフェンスの巫女自体、知りませんでした。

 殿下が言うには、それらは皇族は知らず、唯一、皇帝陛下が知るのみだと。

 魔窟の情報を得たいが為に、サヴィスへオーロッド共に赴いたのだと」




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