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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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145.それぞれの事情 29


『いや、下手に知りすぎても迷惑かけるから……』


「隠し事されてた方がショックだった!」


 と、フィーナも援護射撃する。


『それは……悪かったよ……』


「ってことで!

 お詫びとして何か作ってよ!」


 満面の笑みを浮かべて告げるフィーナを、マサトはジト目でしばらく眺めた。


『要は何か作れってことか』


「その通り!」


 フィーナの料理を知っている面々は、フィーナが望む料理に、口には出さないものの期待を膨らませた。


 カシュートとゲオルクだけが、事情がわからず、静観していた。


 その二人も。


 食したマサトの料理に衝撃を受けたのだった。




「何でもいいんだな?」


 人型になったマサト――シンが、材料と調理器具を見て確認する。


 料理はシンまかせとなった。


「大鍋あって良かった」


 人数を見て、シンは大鍋を使用した料理にすることにした。


 小屋は他の業者仲間と共同で使用する関係で、同時期に複数人滞在するのもままあった。


 そのような時、使用していた。


 大鍋を出したシンに、フィーナは不満顔だ。


「食べたことないのがいいのに」


 これまでの経緯から、人型時は「シン」と呼ばれるマサト。


 フィーナは大鍋を見て「鍋料理」だと思った。


 鍋料理はドルジェでも食べている。


 せっかくマサト本人が作るのだから、食べたことないものがよかった。


「食べたことないはずだぞ?」


 言いながら、大鍋をかまどに置くと、調理台戸棚の下奥から、がさごそと黒い壺を出した。


 蓋を開けると茶色いものが入っている。


 ふわりと漂う香りは、フィーナが初めて嗅いだものだった。


 フィーナは初めてだが、シンが感じる懐かしさがフィーナにも伝わる。


「ミソ?」


 シンの思考が伝わって、反芻するフィーナに、シンがうなずく。


「似たヤツ見つけて保存してた」


 完全に同じではないものの、これが一番近いという。


「口に合わなくても知らねーからな」


 好き嫌いが分かれる料理だという。


 フィーナには米の炊飯を頼んだ。


 米は小屋の備蓄食材だ。


 他、長期保存可能な食材、調味料等を複数共有していた。


 フィーナも大所帯の炊飯は初めてなので、分量、水加減はシンの指示を仰いだ。


 他、アレックス達に付近で自生しているキノコの収穫を頼んだ。


 シンは手際よく料理を進める。


 大所帯の調理にも慣れた様子だ。


「軍にいるとき、経験あるから」


 戦場で緊急時に、各隊でまかなうこともあったのだそうだ。


 そうして作られた料理がテーブルに並ぶ。


 椀に盛られた汁物とご飯が並ぶ。


 シン以外は初めて目にする料理だ。




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