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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
578/754

129.それぞれの事情 13


 熟考のあと。


「――わかったよ」


 ため息をついてシンは。


 するりと。


 その身を、ネコの伴魂――マサトへと転じたのだった。



       ◇◇      ◇◇



「っ!!??」


 ――とん。


 ……と。


 軽い身のこなしで、面々が囲うテーブルに乗る。


 シンという人から、マサトというネコに姿を変えた様を目の当たりにして、居合わせた面々は呆然とした。


 予想してフィーナも、実際目の当たりにして唖然とした。


 けしかけたのは自分だが。


 想像と現実の差に、驚きを隠せない。


「やややや、やっぱりね! そんな風に変身するんじゃないかって思ってたのよ!」


 フィーナは強がって、ビシリ! と、シンに指を突きつけて言うものの、動揺が隠せていない。


 どもる様子からフィーナの心境は周囲にも知れている。


 知れているものの、動揺する心情は誰もが理解できた。


(――そんなに……簡単に?)


『簡単そうに見えるけど、簡単じゃねーよ』


 戸惑うフィーナの心の声は、伴魂にも伝わっていた。


 シンの――マサトの声に、呆けていた面々がハッと意識を取り戻す。


『気持ちを落ち着かせないと無理だし、集中力も必要だ。

 場所との適合もあるみたいで……自分でもよくわからんが、できない時もある』


「姿を変えられる」「変えられそうにない」と、感じ取るのだという。


 それに関してなぜか、マサト自身わからず、説明できないらしい。


『――で?

 何が知りたいんだ?』


 フィーナは訊ねるマサトに戸惑いながら、小さく息をのんだ。


「――どうして、隠してたの」


 騎士のシンと、フィーナの伴魂、マサトが同一であると。


 想定された質問に、マサトは眉間に皺を寄せて目を閉じ、ピクピクと耳を動かした。


『む~……』と、考え込んでいる。


『隠すつもりはなかった。

 話すことでもないと思ってたから。

 その件で責めるんだったら――相手は俺じゃねーだろ』


 マサトはため息交じりに告げると、尻尾でビッとリーサスを示す。


 突然矢面に立たされたリーサスは


「は? ……え? ……え!? 俺――私……!?」


 ――と、自分を指さし、戸惑っている。


 戸惑うリーサスにシンが重ね添えた。


『俺は隠すつもりなかった。

 騎士になる気はなかったから。

 うやむやのうちになっちまったけど、すぐやめるつもりだったし。

 責められるとしたら、止め時を見誤ったことだな。

 ――なあ、リーサス。

 俺、何度も言ったよな?

 騎士にはならないって。

 頼み込まれて受けた後も、何度も言ったよな?

 やめるって。

 やめようとするたびに、お前に止められたよな?』



 

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