127.それぞれの事情 11
思い至ったアルフィードは、聞き取り方法を気をつければ、得られる答えが増えると嬉々とした。
単純に喜んだアルフィードと異なり、フィーナは思い至ると同時に、別の感覚にとらわれていた。
問いにうまく返答できない祖父の戸惑いをフィーナも感じていたから、困らせないよう、途中で追求をやめていたが。
(うまく聞き出せれば、いろんなこと、わかるようになる――?)
そう思うと、ざわりと全身が総毛立った。
何とも言えない高揚感が体を包む。
それはエルド家の書庫に通うきっかけとなった、感情に似ていた。
本は好きだった。
図鑑では様々な知識を得られるし、風土誌ではそれぞれの土地について――その他、専門書では個々それぞれに関して、知識が増える。
気になる本を、気になる箇所だけ、興味ない部分は飛ばして読んでいた。
そうして本を読んでいた時だった。
――ふと。
これまで漠然と読んでいたものが、理解すると同時に、これまで得た知識と符合して、それまでわからなかったことに答えを得られた。
謎を解いた高揚感が、フィーナを虜にした。
雪原草の不足理由も、多方面からの知識から得られたものだ。
祖父との関わりをどうしようかと考えているフィーナに、ゲオルクがついと顔を向けた。
「いいのか?」
「? なにが?」
首をかしげるフィーナに、ゲオルクは御者台をちらりと見た。
自身の伴魂と話さなくていいのか。
「え~~~っとー……」
フィーナはぽりぽりと頬をかいた。
馬車で小屋に向かう際、即「事情聴取」も考えたのだが。
「それは……あとでね」
思うところがあって、答えを先延ばしにしていた。
そうして待ち合わせ場所の小屋に到着する。
光と共に消えたカイル、ゲオルク、カシュートが無事戻ったことに、アレックスとレオロード、リーサスは腰砕けになるほど安堵した。
ゲオルクはカイルの転移魔法を使う際、メモ書きを残していた。
――必ず戻ってくるから、この場から動かぬように――
他国であること、探すあてもなかった三人は、数日は様子をみることで小屋に留まっていた。
当日中の帰還に、三人の安堵は大きい。
「そういえば――」
アレックス達と合流したフィーナは、小屋で簡単な食事をとりつつ、ふと思ったことを口にした。
食事はアレックスとレオロードが調達した携帯食を口にしている。
「おじいちゃんのこと、疑わなかったんですか?」
フィーナとアルフィードの祖父と告げても、面識がないので信じられないのでは。
「アルフィード殿の伴魂が居ましたから」
答えるレオロードに、フィーナも納得する。




