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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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123.それぞれの事情 7


「俺たちもツテを持ってるんでね。

 それで知ったってことにしといて」


 肩をすくめて告げるカシュートに、それ以上、追求しても答えてくれないだろうと、フィーナは感じた。


「――カイルのこと、どうして知ってるの?」


 カジカルの文献探しでドルジェに滞在した際、リオンとロアの両親にカイルは「貴族籍の子息」と伝えていた。


 二人とも信じた。


 エルド家の人間はフィーナとアルフィード以外、カイル=第二王子と知らないはずだ。


 ゲオルクも初対面のはずなのに、初めから知っていたようだ。


 カイルの――能力も。


「転移魔法は前、使っただろう?」


「――え……」


 淡々と告げるゲオルクに、フィーナは驚く。


 声は、馬車内に聞こえていた。


 カイルにもアルフィードにも、ザイルにも聞こえている。


「なぜ、それを――」


 知っているのかとカイルは驚き、アルフィードとザイルは「そんな魔法をカイルが使ったのか」と驚いている。


 驚かないカシュートはゲオルク同様、カイルの魔法を知っていたようだ。


「気配から察した」


 さも当然と答えるゲオルクに、フィーナ達は困惑する。


「えぇ……ぇえぇとぉぉ??

 その場にいなくても、誰か魔法使ったら、誰がどんな魔法使ったか、おじいちゃんはわかるってこと?」


「変わったもの、威力あるものに限るが」


「感じるって――」


 それって普通なの?


 困惑して、フィーナはカシュートに助けを求める。


 カシュートは肩をすくめて苦笑した。


「前から知ってたろ。

 じいさまの特異性は。

 俺も理解できないとこ、多々あるから「こういう人だ」って見切りつけないと頭おかしくなるぞ?」


 乾いた笑いを漏らすカシュートは、全ての理解を諦めているようだった。


「ま。その辺の事情は、おいおいわかってくるよ。

 慣れと――これから得る知識でな。

 まだ学生なんだ。

 学ぶべき事は別にあるだろ?」


 困惑するフィーナにカシュートは話すと、同じく困惑するアルフィードにも顔を向けた。


「話すなら、フィーナと一緒がいいだろうって、前から決めてたんだ。

 アルに隠してたわけじゃないからな?

 誤解しないでくれよ?」


 言って、未だ顔色の優れないアルフィードに苦笑する。


 アルフィードはどう返事をしていいのかわからず、何も言えず、うなずくなどの反応もできなかった。


 未だ体調不良のアルフィードを気遣い、ゲオルクが脈をとって様子をみる。


「もうしばらくの辛抱だ。

 小屋に着けば、置いてきたあれが助けになる」


「あれ? って?」


 不思議に思ったアルフィードの思いを、同じ疑問を持ったフィーナが口にする。


(――「っ!! あ゛ーっ!!」)


 首をかしげたフィーナの意識下に、シンの叫びが飛び込んできた。





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