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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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122.それぞれの事情 6


 禁忌となるのは、人から伴魂に触れる場合だ。


 伴魂からなら問題ない。


 問題ないのだが――。


 人から他人の伴魂に触れる。


 それが禁忌となったのは、二つの理由がある。


 一つは、触れられる伴魂の強い嫌悪感があった。


 主以外に触れられたくないと思うのだ。


 もう一つは、触れる人に属する伴魂の嫉妬があった。


 主が他の伴魂に触れようとするのは、自分より気に入っているのでは――。


 そうした感情から、主と伴魂の連携がうまくいかなくなった記録もある。


 しかしオズマの行為は、フィーナの伴魂から嫉妬をかうことなく。


 伴魂自身が望んでじゃれついているので、伴魂の嫌悪があるわけもなく。


 条件をクリアしたものであった。


 ――フィーナ自身は。


 オズマにもみくちゃにされて、いらぬ労力を費やした。


 しばらくすると、満足いくまで遊べたオズマは落ち着いた。


 対処したフィーナはゼーハーと息が荒い。


「――だから……カイルのことだけど……。

 どうしてオズマ野放しにしたの?

 もみくちゃにされたって、カイルのこと、うやむやにするわけないのに」


 フィーナは、ゲオルクがオズマをけしかけたのは、カイルの一件を煙に巻こうとしたからだと思っていた。


 しかしフィーナの言葉にゲオルクは首をかしげた。


 フィーナは「あのねぇ」と苛立ちを交える。


「オズマとじゃれてる間に、カイルの質問をなしにしようとしたんでしょ?」


 フィーナの言葉に、ゲオルクと――なぜかカシュートも同調して首を横に振った。


「オズマの息抜きだ。

 フィーナとアルフィード、二人に久方ぶりに会った嬉しさで、尋常でないほど興奮していた。

 触れ合いで、ガス抜きを期待した。

 オズマも満足したようだ」


 告げるゲオルクの言うとおり、ひとしきりフィーナにじゃれついたオズマは落ち着きを得ている。


 幼い頃から、オズマと遊んでいた。


 いつの頃からか、ゲオルクは頻繁に諸国散策するようになり、年に数日しか会えない年が続いた。


 それはオズマに会える機会も同等に減少したと意味している。


 なぜかオズマは、アルフィードとフィーナに特別なついていた。


 久しぶりに会ったときは、フィーナもアルフィードも、オズマを存分に構うのだが、今は状況が状況なのでやめていたが――オズマには関係ない。


 ゲオルクの説明を、フィーナは釈然としないものの、受け入れた。


 再度、フィーナは説明を求めた。


「俺たちがアブルード国に来てたのは、別件で――偶然っちゃ偶然なんだが――。

 なるようにしてなったってとこもあるか」


 カシュートが頭をかきながらぼやく。


「お偉いさんの考えてることなんざ、わからんよ」


「――お偉いさん?」


 ゲオルクのことかと思ったが、当人は無反応さから見るに、違うのだろう。





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