表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
551/754

102.シンという男 44


(気づかれてた――)


 マサトの姿が見えなくても、フィーナが魔法を使ったので知られたのだろう。


 しかし――。


(クリーディア……?)


 この国での従魔の呼び方なのかと思ったが、リュカの話しぶりでは特別なように聞こえる。


(そういえば……)


 クレンドーム国、王女のユーファ。


 彼女の伴魂、フェレットのリック。


 リックもマサトと同じくアブルード国から逃げた従魔で、マサトは戦績優秀だったと言っていた。


 あの時は「そうなんだ」と思っただけだったが――この国からすれば、追手をかけてでも欲しい人材だったのだろう。


 ――不思議なのは。


 マサトの拉致未遂が一度だけだったことだ。


 その後も手出しがあるだろうと思っていたが、皆無だった。


 諦めたのだろうと思っていたところへ、別件でアルフィードがさらわれた――。


 偶然か、繋がりがあるのか――。


(リックは従魔を別の呼び方をしてた)


 隷獣スレイベス


 そう言っていた。


 リュカの言うクリーディアが何かわからない。


 マサトは実際姿を見られずとも、気配で特別だとわかる存在らしい。


 身元ばれしてるのだから、いい加減側に来て欲しい。


 いらだちと焦りを募らせて、フィーナは胸の内でマサトを呼び続けるが、反応がない。


 そればかりか、シンとリュカが争っていた場所に居たときより、マサトが離れた場所にいる気がするのは――おそらく気のせいではない。


 シンとリュカが争っていた場近くに、留まっていたのではと考えられる。


 大方、リュカを監視するつもりだったのだろうが。


(こういう時って、主の心配するんじゃないの!?)


 次第に近づいている――ように感じるが、いつもながら感知範囲が広いので、はっきりとはわからない。


「――そうね」


 姿が見えないマサトに気づいていた。


 フィーナはリュカに話を合わせた。


「もし、お姉ちゃんとこの国に下ったとして――私達にどんな利があるの?」


 もちろん、そんなつもりはさらさら無いが「ちょっと興味あるかも」と見せかけて、話を伸ばして時間稼ぎを試みる。


 フィーナの言葉に、リュカの顔がぱっと華やいだ。


 ――依然、狂気をはらんだ瞳と表情を宿しながら。


「もちろん、地位も名誉も金銭も思うままですよ。

 ご実家などと比べものにならない裕福な生活となりましょう。

 後悔などさせません」


 ご実家などと――。


 その物言いが、小馬鹿にする感情が見えて、フィーナの気に触れた。


「裕福だとしても、自由はないんでしょ?」


 裕福な生活も、地位も名誉も金銭も、求めてると言った覚えはない。


 実家に不満などないし、両親を尊敬しているし、小さくはあるが、村人が暖かいドルジェ村を好いている。


 苛立ちから反射的に告げたフィーナは、言った後で「しまった」と悔やんだ。


 話を長引かせるも何も、自分からケンカを売ってどうする――。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ