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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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95.シンという男 37


 シンはフィーナを背後にかばい、リュカに剣を構える。


「だから余計な手出しするなと言ったんだ」


 背後のフィーナに、シンが舌打ちする。


 アルフィードと合流後、ザイルを含めたフィーナ達に、シンは「自分の身は自分で守ってくれ。こっちも手出し無用。邪魔になる」と、対応方針を話していた。


 あのときは、想定外の横やりは迷惑。との意味だと思っていたが。


「悪目立ちすれば目をつけられるって、少し考えればわかるだろ」


「――え……」


 シンの言葉から、こちらを思ってのことだったと知る。


 アブルード国には、アルフィード以外の情報は明らかとなっていない。


 アルフィード救出を手助けしたとして、庶民であるシンが表沙汰となるほうが、国同士の関係からも一番都合がよかった。


 ほかの面々は貴族籍だし、フィーナも実力を明らかにすると、アルフィードと共に目をつけられる可能性がある。


 シンはそうした状況を見越していたのだとフィーナは知る。


 落ち込むフィーナに、シンは「――けど」とつぶやいた。


「本音言うと、さっきのは助かった。

 おかげで――こういう状況だけどな」


 謝辞を述べ、シンは苦笑する。


 余計なことをしたと後悔していたフィーナは、少しだけ心が軽くなりつつ、自身に降りかかった、想定外の厄災に戸惑っていた。


 アブルード国の従魔だった、フィーナの伴魂、マサト。


 マサトのアブルード国での主、リージェ。


 アブルード国から逃亡したマサトは、前主を今も気にかけている。


 マサトは何も言わないが、伴魂と主、その繋がりから、マサトの想いをフィーナも感じていた。


 いずれマサトと共にアブルード国を密やかに訪問して、リージェ捜索できたらと、考えていた。


 そうした考えがあると、マサトにも伝えている。


 実際、どうするかはセクルト貴院校を卒業してからだろうと、フィーナは考えていた。


 その際も、マサトとの関係が明らかにならないよう、気をつけるつもりだった。


 今も、マサトとの関係を知れないように、本当は側に居て欲しいのを我慢していたのだが。


 フィーナの魔法で、マサトとの関係を知られてしまった――。


 そこまで考えて、ふとした疑問が生じた。


(あれ? でもマサトは――)


 前主、リージェとの従魔関係を解消している。


 主であるリージェからの解消だ。


 従魔からの解消は、できなくもないが様々な問題が生じるらしい。


 その一つに、アブルード国での履歴が解消されないとマサトが言っていた。


 従魔から強引に契約を解除した場合、アブルード国に入国すると、その従魔を感知できるとのことだった。


 前例が少ないので、詳しくはマサトもわからないと言っていた。


 マサトは正当な手順を踏んでいるので、アブルード国に入国しても、探知されないだろうとフィーナは聞いていたのだが。


 ではなぜ。


 フィーナを宿主レイブラントと見なしたのか――。


 宿主レイブラントは、アブルード国特有の呼び名だ。






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