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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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94.シンという男 36


 振動で手に軽い痺れが走る。


 反動で後方に数歩退いたフィーナは、顔前に剣を突きつけられた。


 フィーナは唇をかみしめてリュカを見る。


「やめて! フィーナを傷つけたら――!」


 対峙するフィーナとリュカ。


 リュカにアルフィードが声を上げた。


 フィーナを守ろうとするものだった。


 フィーナがアルフィードの妹だとリュカも知っている。


 アルフィードが嫌がることはしないだろうと思ってのことだった。


 アルフィードの思惑は当たった。


 当たったものの、リュカは想定以上の話を口にする。


「ええ、わかっています。

 傷つけなどいたしません。

 ですから彼女――妹君も、マスターとご一緒にグランド・マスターに就かれるのはいかがでしょう」


「――え?」


 リュカの言葉に、アルフィードは目を瞬かせた。


 フィーナも一緒に――。


 リュカがなぜそう考えるのか、アルフィードにはわからなかった。


 家族が近くに居て欲しいだろうと、アルフィードを思ってのことなのか、フィーナを人質としようとしているのか――。


 どちらにしても。


「フィーナは――妹は関係ないでしょう?」


 アブルード国の――ルーフェンスの巫女には。


 アルフィードの行動を制限するための人質と考えているのかと思ったが、リュカが思ってもいなかったことを口にした。


「妹君は宿主レイブラントでしょう?

 我が国の――グランド・マスターの保護下に居るべきです」


「れい……ぶ……?」


 聞いたことのない言葉に、アルフィードとザイルは眉をひそめた。


 フィーナは古い記憶がよみがえって、リュカと対峙する恐ろしさとは別な恐怖を感じた。


 昔。


 ドルジェの山で拉致されそうになった時。


 マサトが、人の言葉を話すきっかけとなったあのとき。


  ――宿主レイブラントを定めたか


 男の人は、そうつぶやいた。


 ザイルも居合わせたと聞いているが、小声だったので聞こえなかったのだろう。


(どうして――)


 なぜリュカに知れたのか、フィーナは困惑した。


 マサトは側にいないのに。


 ドルジェの森でも、マサトが側に居たから、フィーナを「宿主レイブラント」と判じたのだと思っていた。


 フィーナが、アブルード国で言うところの従魔の主、宿主レイブラントだと知れないように、マサトは身を隠しているというのに。


 なぜわかったのか――。


 リュカとアルフィードが話している間に、駆けつけたシンがリュカへ斬りかかり、フィーナとの間に割り込んだ。


 リュカは、背後からの攻撃を振り返ることなくかわした。

 



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