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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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85.シンという男 27


 フィーナとしても不思議だった。


 アルフィードはマサトに一定の理解と信頼を寄せつつ、苦手意識があると感じていた。


 そのアルフィードがマサトを気にしている。


 何か、話があるのだろうか?


「ちょっと……聞きたいことがあったから……」


 アブルード国で、兵として暮らしていたマサト。


 彼ならルーフェンスの巫女、クラウドについて、何かしら知っているのではと思ったのだ。


 フィーナは「ん~~」と目を閉じて渋面する。


「近くに居るような……居ないような……。

 気配は感じるんだけど……なんかモヤモヤしてるんだよね」


 主と伴魂の繋がりで、気配を探ったようだ。


 元々マサトは「常に側にいる」伴魂ではないので、フィーナも伴魂不在を気にしていなかった。


 ……ただ。


「結局、あの人とも会わないままなんだよね……。

 マサトも『タイミング悪すぎ』って愚痴ってたけど。

 もっとどうにかできないの?」


 あの人とはシンのことだ。


 シンはフィーナ達の前に、予告なくふらりと現れる。


 待ち合わせしても約束した時間は大まかなので、シンとマサトが居合わせる状況に至っていなかった。


 フィーナとしても、マサトに「シンが信頼できるかどうか」見て欲しかったのだが。


「私に言われても……」


 そうしたやりとりを知らないアルフィードも、困ってしまう。


「けど……マサトが居なくて大丈夫なの?」


 アルフィードもここに至ってフィーナの身体的能力を、半信半疑ながら認めている。


 マサト不在を心配するのは、フィーナ自身の身を守るために必要だと思ったからだ。


 フィーナは高い魔法の能力を有していると聞いている。


 アルフィードは数えるほどしか見たことがないが、それでもフィーナが魔法の能力が高いとは半信半疑だった。


 魔力が高かろうが低かろうが、自己防衛には必要だ。


 伴魂が側にいなければ、魔法が発動は困難なのだから。


「大丈夫。どうしてもの時には――戒めの輪、使うから」


 告げたフィーナの声には、幾分かの緊張が含まれていた。


 マサトがフィーナの伴魂となった初期から、アルフィードによって装着した戒めの輪。


 伴魂を――マサトを制御する目的のものだったが、幸いにも使用する状況に至ったことはない。


 戒めの輪は、伴魂の行動を制御する道具であると同時に、使いようによっては連絡手段に応用できると、フィーナ達は思っている。


 意識下の呼びかけがうまくいかなかったときは、戒めの輪を使用して意思疎通をとろうと、フィーナとマサトは話していた。


 戒めの輪は、束縛の呪文を唱えると、伴魂が身につけた輪が急速に締め付けられる。


 慌てた伴魂が主の側に舞い戻り、主もそれを確認して戒めを解除する――。


 フィーナは連絡手段として、そのように活用しようと考えた。




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