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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第十章 ルーフェンスの巫女
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52.ルーフェンスの巫女 7


 プリエラはアルフィードの話を興味深く聞いていた。


 そうして昼食も拒否した数刻後。


 アルフィードの元に、予期せぬ人物が来訪したのだった。



       ◇◇     ◇◇



 アルフィードに用意された屋敷内では、アルフィードもプリエラも、自由に行動できる。


 食事をとらず、寝室にこもりっきりでも気が滅入るので、気分転換に庭を散策した。


 アルフィードも両親やフィーナほどではないが、薬草の知識はある。


 散歩しつつ、庭の草花を注意深く観察しながら、こっそり探っていた。


 一般的な――サヴィス王国民、誰もが知っている、一般的な血止めや胃痛胸やけに有効な草花を見つけたが、どれも雑草として自生しているものだった。


 花壇や手入れされるものは、薬用効果のない観賞用ばかりだ。


 ……当然と言えば当然なのだが。


 注意深く植物に目を配っていると――無性に、フィーナの薬茶が飲みたくなった。


(疲れてるの?)


(眠れない?)


(頭が重いかんじ?)


 体の不調を感じていると、アルフィードが口に出す前に気付いて、それとなく症状を聞きだし、その時の症状にあった薬茶をさりげなく用意してくれた。


 甘い香り、柑橘系の爽やかな芳香、塩っけのあるもの――。


 実家から離れて――フィーナから離れて思ったものだ。


 妹の気遣いと、用意してくれる薬茶のありがたさを。


 薬茶と言っても、薬ほどの効果はない。


 気分転換できる程度のものだが、疲労が蓄積されている時の効果は大きかった。


 宮仕え時も思っていたが、今は切に思う。


(薬茶が飲みたい……)


 フィーナが煎れたものが一番だが、今はとにかく自分でも煎れられないかと考える。


 フィーナから概要は聞いていた。


 試した事はないが、材料があれば自分でも煎れられると、思った記憶がある。


 必要な物は、通常の茶葉に軽い効能のある薬草、風味づけの香料、果物類――。


 考えながら庭園を散策したが、求める効能の薬草は見つからなかった。


 だったらせめてもと、庭園に自生する柑橘の果実を許可の元、一つもらった。


 サヴィス王国にもある果実だったので、害はないだろう。


 念のため、プリエラに味見してもらった。


 毒味と変わりないので、アルフィードとしては申し訳なかったが、プリエラ自ら志願したので戸惑いながらもお願いした。


 果実に問題はなかった。


 特徴を書くなら、酸味が強く、プリエラが顔をしかめたくらいか。


 茶葉と茶器類はプリエラが持参したものがあったのでそれを使用した。


 水宴アクアフェストの水を魔法で煮沸し、お茶を煎れる。


 そのお茶にプリエラが持参した蜂蜜を少量、庭でとった果実を搾った。


 さわやかな香りが周囲に広がる。


 柑橘系の香りが好きなアルフィードは、その香りだけで、ほう、と体も心も癒された。


 温かい飲み物に注がれた果汁の香りは、室内に広がっている。


 興味津津のプリエラにも振る舞った。


 口にしたプリエラも、こうした飲み物は初めてだと気に言ってくれた。


 ――そうしてお茶の時間を楽しんでいる時だった。


 不意に扉をノックする音が部屋に響く。


 アルフィードとプリエラはきょとんとして顔を見合わせ「どうぞ」と入室を許可する。


「失礼します」


 告げて入室したのは二十代前半の年頃の男性だった。


 アルフィードとプリエラに一礼すると、今度は開いた扉を背に、頭を下げる。


「何事」とアルフィードとプリエラがいぶかしんだ。


 そうした二人の前に、老齢の男性が入室する。


 中肉中背。

 

 年は60過ぎと感じた。


 白髪交じりの灰色の髪を、後方に撫でつけている。


 鼻の下、口周りに頭髪と同じ白髪交じりの髭を蓄え、髭は切り整えていた。


 男性は、杖を手に入室する。


 杖が必要とは思えないほど、背筋は伸びて足取りもしっかりしている。





更新頻度遅くてすみません。

異動後の仕事に、未だ慣れません……。

加えて、話を進めにくい部分でもあって……。

試行錯誤してます……。

プラス、重要なんですよ……。

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