表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第九章 アブルード国の思惑
395/754

4.二年度の始まりとスーリング祭 4


       ◇◇       ◇◇



 ローラから聞かれたカイルは、スーリング祭を知らないのに驚いた。


 驚いたものの、よくよく考えれば理解できる。


 スーリング祭は、セクルト貴院校の各学年、首席次席を招く、国の中枢部の行事だ。


 セクルト貴院校は、学び舎として国の最上級にあたる。


 学年の首席と次席だけが参加する行事を、卒業生も在校生も知らない者が存在するのは、無理からぬことだった。


 カイルがローラに概要を話すと、彼女は笑顔のまま、さ~っと青ざめた。


「――少々、お待ちいただけますか」


 カイルに告げるや否や、ローラはフィーナに詰め寄る。


「――聞いてへんで!? 王族や中央政府高官が参列するやなんて!

 各学年の成績優秀者が参加する場やなかったんか!?」


「各学年の首席と次席の方が出席する場ですよ?

 将来の為に」


「う~~あ~~~!

 なんやの、将来の為にって!

 青田刈りなら最初からそう教えてくれや!

 うちらやってなぁ、ふさわしい場を想定してあんさんらのドレス作ってんのや!」


 キシャー!!……と、火を吹かんばかりにフィーナを責めるローラを、ラナがなだめすかした。


「大丈夫ですよ。

 そうだとしても、恥ずかしくない物を準備すれば良いだけですもの」


 ローラをなだめるラナは、いつになく凛としている。


「フィーナ。あなたには私の伴魂の件、文化祭フェシューレの件、お世話になりっぱなしだったから。

 こうしてようやく、あなたに恩返しができると、嬉しくて仕方ないの。 

 フィーナの為に……フィーナの良さを引き立てる、最高のドレスとなるよう頑張るから」


「え……えぇぇぇえええ……そこは「恥ずかしくない程度」でいいよぉぉ……」


 目立ちたくない。


 そう思っているフィーナは控えめにラナに告げたが、ラナは満面の笑みを浮かべて「任せて」と答える。


 フィーナは自分の思いが伝わっていないと諦めつつ、衣装の他にスーリング祭で試みようとしたことを、カイルに相談した。


 後にこの提案が、国全土に影響を及ぼすこととなる。




 そうした準備を経て、スーリング祭が開催された。







短いので、今日はもう一つ更新する予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ