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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第八章 期末試験
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15.集活(トゥルマ) 5


「お二人はクラスの出しもので劇に出ていらっしゃったの。

 精霊の姿をされたアルフィード様から手当てを受けた生徒は「本当に聖女様のようだった」と語っているわ」


(ええ~~~? それって意識が朦朧としている中、着飾ったお姉ちゃんから手当て受けての思いこみじゃない?)


「オリビア様も、御美しい御姿だったと聞いているわ。

 ――ああ! 見てみたかった!」


 興奮気味に告げるテレジアを見て、フィーナは察した。


(――あ。ダメだ)


 ――と。


 貴院校の女学生と接する中で知ったのは、王女オリビアに心酔し、彼女に使えるアルフィードにあこがれる生徒が多いことだった。


 フィーナはそうした生徒から、真逆の対応を受ける。


 すり寄られるか、無視されるか。


 貴院校入学当初は、対応の仕方がわからず、律義に個々に誠意を持って応対していた。


 今では慣れて、笑顔を向けて、言葉なく、完全スルーを続けている。


 まさかテレジアがオリビア心酔派だったとは――。


 救護――包帯の巻き方を学びたいと言うのも、オリビアへのアピール材料では?


 そんな勘ぐりをしていたフィーナは、その後告げたテレジアの話を「真偽不明」と思いこんだ。


「アルフィード様の手当てを受けた生徒が言っていたのよ。

 患部が湯船に浸かったような心地よい温かみを持って、傷口が塞がったと」


(手当されて、傷口を覆われたってことだろうな~)


 テレジアの話を、フィーナは流して聞いていた。


 アルフィード本人が「覚えがない」と言ったから、ありえないだろうと思っていた。


 ――フィーナは知らなかった。


 アルフィードはフィーナと違い、薬屋の手伝いをしていなかったと。


 フィーナは幼少期、伴魂を取得できなかった事情から、万が一の為、家業の手伝いをしていた。


 ドルジェ村にしてもサヴィス王国の庶民としては、継ぐ家業が決まっていても、幼少期に家のやり方に染めないようにしている。


 それは中児校卒業後、研修期間として他の家業で学ぶ際、不利益となるためだ。


 アルフィードはフィーナと違い、薬屋の手伝いをしたことはほとんどない。物理的な傷の手当ては、アルフィードにはできなかったはずなのだ。


 その事実を、フィーナは知らなかった。


 テレジアはそれからしばらく「オリビア愛」を語った。


 自分が巻いた種に引きつった笑みでフィーナは対応していた。


 姉を通じてオリビアと親交があると知れたら――。


 怖くて考えたくもない。





 こうして始まった集活トゥルマは、やがてフィーナの知らないところで広がりを見せていくのであった。






 

 


分量が少ないので、本日二度目の更新にします。


これで、私的には必要最低限の世界観&人物&設定の下準備的話を書ききったと思っています。

今後、主軸絡みの展開となる予定です。


章の表題に持ってきますが。

マサト(異世界転生者)いわくの国、アブルード国が動きます。



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