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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第二章 セクルト貴院校
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10.突然の来訪者【前編】

話が長くなったので、前編後編に分けました。

書きあげて分けてます。


 それは突然の来訪だった。


 夕食を終えたフィーナは、共同室でサリアと、それぞれ与えられた課題に取り組んでいるときに、扉をノックする音がした。


 これまで、予定外の訪問がなかった二人は顔を見合わせ


「誰か来る予定あった?」


「ないない」


 との話をした上で、フィーナがおそるおそる扉を開いたのだが。


「オリビア様!?」


 銀髪に銀の瞳。騎士の服装に身を包んでいるオリビアが、部屋の前に立っていた。


 驚いているフィーナに「久しぶりね」と笑顔を向けている。


「ど、どうしたんですか?」


 驚くフィーナは、どうしたらいいのか、わからなかった。


 部屋に招きいれていいのか、正式な来賓室ではないので、寮長なりに許可を取って、そちらに移動したほうがいいのか。


(ああ、でも、寮に入る前に入ってもいいか確認をとっているはずだから……え? 部屋でいいの? あ、でもサリアがいる――)


 めまぐるしく思考を巡らしていると、先にオリビアが口を開いた。


「今日は用があって来たの。中を使わせてもらえないかしら。寮長や教師陣からは許可はもらっているから」


 先んじて状況を話してくれたオリビアに従って、フィーナは彼女を招き入れた。


 そこで気付いたのだが、姉のアルフィードを伴っていた。


 オリビアに続いて入室したアルフィードは、驚いて声を出せない妹に、笑みを浮かべて視線だけを交わす。


 室内の扉側からは死角になって見えなかったが、他にも人が連なっていた。


 一人は護衛らしき女性騎士、後は箱詰めの何かをいろいろ手にしているもの二人、布製の手提げ袋を手にした人たち二人と、大所帯となっていた。


 入出したオリビアに気付いたサリアが


「オ――っ!」


 と、彼女の名を叫びそうになって、オリビアが慌てて自身の口元に立てた人差指を当てて、静かにするよう促す。


 反射的に叫びそうになっていたサリアは、口を手で覆ってどうにか我慢すると、慌てて最上級の挨拶を小声で交わした。


 そして続いて入って来たアルフィードを見て、こちらにも胸の内で歓喜の声を上げていた。


 サリアはオリビアと知り合いらしいフィーナに「一体、どういう関係なのか」と眼差しで問い掛けている。


 姉のアルフィードの繋がりからだろうと想定はできるが、まさか気軽に会話をする仲とは思っていなかったようだ。


 フィーナもまさかオリビアが寮に出向いてくると思っていなかったから、当惑しきっている。


「あまり気を使わないで。押しかけたのはこちらなのだから」


 オリビアは軽い口調で告げた後、サリアに「申し訳ないが、しばらく共同室を貸してもらえないか」と話した。


 寝室に控えてほしいと暗に含んだ物言いを察して、サリアはすぐに了承したが、入出した大所帯を見て、何事なのかと戸惑いを隠せずにいる。



 オリビアは少々考えたあと「まだ他言しないで欲しいんだけど」と前置きして状況を説明した。


「スーリング祭で使用する正装を準備するから」


「――スーリング祭……」


 呟いて、サリアはフィーナに戸惑いの眼差しを向けた。


「大丈夫だろうか」との心配も含まれている。


 そういえば。と、フィーナは思い出した。


 初日の夕食時、食堂で寮長が言っていたが、何のことだろう?


 首を傾げるフィーナに、サリアは意を決して口を開いた。


「差し出がましいようで申し訳ありませんが、本当にフィーナ・エルド様が御出席なさるのでしょうか」


 側仕えのアルフィードに向けて話しかける。


 オリビアと直接話すのは無礼だろうと判断したようだ。


 オリビアもそうしたサリアの配慮に気付いたようだった。


「気にしないで直接話して。今日は個人的に来ているのだから。フィーナがスーリング祭に出席するのは本当よ」


 オリビアが確証を持って告げると、サリアの不安は一層深まった。


「その……準備などは……」


「正装はこれからあつらえるわ。一ヶ月後にはどうにか間に合うでしょう。布なり小物なり、ある程度、準備はできているの」


「あの……」


 と、フィーナはおそるおそる手を上げた。会話に置き去りにされていたが、これ以上後で聞くと、さらにまずそうに思ってのことだった。


「スーリング祭って……なんでしょう?」


「やっぱり聞いてなかったの?」


 側にいたサリアが小声で尋ねる。


 フィーナはサリアの切羽詰まった感をひしひしと感じつつ「う、うん……」と頷いた。


 サリアの戸惑いは更に深まる。


 後に聞いたことだが、サリアもフィーナが本来の該当者だろうが、本人が何も知らないようなので、次席なりの貴族籍の者に、話が行っているのだろうと考えていたそうだ。


「――踊れるの?」


「お、踊る?」


「ああ、そちらの心配ね」


 潜めた話はオリビアの耳にも届いていた。


 苦笑交じりにつぶやいたオリビアは「大丈夫よ。基本はザイルとアルフィードが教えていたはずだから。一人でも鍛練はしていたでしょう?」とフィーナに告げる。


 フィーナは更に「基本? 鍛練?」と首を傾げる。


「えと、ですからスーリング祭って何でしょう?」


「ああ、そう言えば、話してなかったわね。

 簡単に言えば、セクルト貴院校のそれぞれの学年の最優秀者、優秀者と王族、王宮関係者との懇親会という名の舞踏会ね」





来訪者は書けましたが、御褒美にまではたどり着けませんでした……。

予告めいたこと書くの、やめようかな……。

書きあげて予告すればいいんでしょうけど、そうすると更新速度、遅くなるので……。

予告めいたの書く時には、あらかじめ、構想ができてる時に書くんですが。

「次はここまで書くぞ!」……的なもので。

予告詐欺は避けたいんですけどね……。


今回はカイルの心情を明かした回でもあります。

次回は御褒美のこと、書けます。ってか、書きあげてます。

あとは推敲をもう少し。


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