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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第七章 伴魂とこの世の理
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29.魔法の作用 17


 マサトはユーファに告げて、話を戻した。


『魔法の概念は話した。

 その理念からすると、人だけで魔法を現象たらしめるってのは、ありえないんだ。

 さっきのフィーナの疾風遊戯ヴェルヴィンを感嘆するほど、人だけで発動する魔法がショボイとしても、人だけで成り立たせる方がありえないから』


 マサトの言葉に、ユーファは俯いて、記憶をたどっていた。


「なにぶん、我が国でも希少な存在で……。

 隔離されているので、私も拝見したのは数えるほどなのです」


「王女様でも、ですか?」


「王族と言っても、わたくしは二王子三王女に次ぐ、第六王女にあたります。

 母方の身分も中級貴族ですので、大した権力は持ち合わせていないのですよ」


 苦笑交じりに告げるユーファを、リックが何とも言えない表情で見上げていた。


 ぎゅっ、とユーファの腕をつかんで、顔を隠すように押し当てている。


(――『……ごめん?』)


(――「え?」)


(――『あ……悪い。チビ助の感情が流れてきて……』)


 マサトは、意図せずリックの感情を感じ取った。マサトが感じ取った感情が、フィーナにも伝わってきた。


 マサトがリックの気持ちを理解しようとしていたからだろう。


 マサトに伝わったリックの感情がそのまま伝わってきた。


 元々、ユーファは人の目を集める存在ではなかったのだが、リックの存在、能力が明らかとなると、野蛮だと蔑まれるようになった。


 サヴィス王国の民からすれば、ユーファの魔法はつたないが、それでも、クレンドーム王国では希有で、威力も段違いだ。


 そうしたユーファを持ち上げる者もいるが――総じて認められないのは、ユーファが唱えるのは治癒の魔法でないからだ。


 クレンドーム王国の魔法を使う者は、治癒魔法を成していた。


 ユーファはリックの助力があっても、治癒魔法はできなかった。


 リックは自分がいるからユーファが悪く言われると、気に病んでいる。


 マサトを介して流れてきた感情で、フィーナはユーファとリックの自国での立場を理解した。


(――「この子? 僕の大事な大事な友達だよ」)


 不意に流れてきた、中年男性と、彼の膝もとで気持ちよさそうに寝そべっているリス。


 木の上に座って、膝の上のリスを愛おしげに撫でる、穏やかな男性を見上げて「でも――っ!」と、ユーファが声を上げていた――。


「噂で聞いただけで……はっきりとしないのですが……」


 呟くユーファの声に、フィーナはハッと、意識を戻した。


 驚きを覚えつつ、ユーファを見る。


 ユーファは驚くでもなく、マサトに問われたことに答えようとしていた。


 マサトとリックを介して伝わってきた、ユーファの記憶と感情に、フィーナも驚いてた。


 こんなこと、今まで経験したことがなかった。


 マサトがリックに意識を向け、そのマサトにフィーナも事情を把握しようと意識を向けていたからだろうか――。


 ユーファの感情に直に触れた心地で、眩暈に似た陶酔感を覚えた。


 ユーファの声で意識を切り替えて、彼女の話に耳を傾ける。


「何かしら、道具を用いているとは聞いています。それは確かです。

 それが何かはわかりませんが……魔力を宿したものだと、噂では聞いています」


『あ゛ー……。

 わかった。大丈夫だ』


 ユーファの曖昧な話を聞いて、げんなりとしながらすぐに理解したマサトに、ユーファの方が驚いていた。


「わかったのですか?」


『多分な。

 そういうのも、見聞きしたことあったから。

 ……にしても、厄介なのに手を出してんな』


「……お願いばかりで申し訳ないのですが、あなたが想定していることを教えてもらえませんか? 

 わたくしの力が及ばないにしても、自国のことです。

 わたくしも把握しておきたいのです」


『対等でないと理解できてるだけ立派だけど。

 教える義理はねーよ』


 ここに来て、にっこり人のいい笑みを浮かべながら、すっぱり斬り捨てたマサトに、フィーナは驚いた。


 ユーファも目を見張ったものの、袖を引くリックに気付いて、自身の伴魂に視線を送る。


 ユーファとリックは互いに見つめあった後、ユーファは瞼を落とすと、小さく息をついた。






昨日は更新できなくてすみません。

所用が立て込んでました。

そして、今、めちゃくちゃ喉が痛いです。

乾燥で喉がやられて風邪ひくタイプです。

風邪でしょうが、この時期だと、コロナ疑われるのではないかと、ちょっと怖いです。

市販薬でしのごうと思ってます。

うがい手洗い、してたんだけどなぁ。

喉奥の、上部と下部がくっつきそうになる感覚が、嫌で嫌でしかたありません。

洗濯物。部屋干しして加湿したい~。(←私には一番効果ある)

(洗って外干しして乾かしたばかりだから、洗う物がない~。涙)

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