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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第七章 伴魂とこの世の理
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28.魔法の作用 16


 ユーファはマサトの話を聞いても、理解できなかったらしく、困惑した表情を浮かべた。


 一緒に話を聞いていたフィーナも「……んん??」と首を傾げている。


 わかったような、わからないような……。


 そうした主の感情を、マサトは感じていた。


 リックはユーファに、自分が異世界からの生まれ変わりだと――この世界に来る前の記憶も話した事があると、伴魂同士の意識下の話で聞いたから、理解できるだろうと思ったのだが……。


 フィーナの様子と合わせて見ると、概念を理解しにくかったようだ。


 それは仕方ないが。


『ナニお前まで『わかりません』って顔してんだよ』


 リックの額に、尻尾を垂直に降り降ろす。


 ピシリと軽い叱責を受けて『あたっ。』とリックは小さく声を上げた。


『基本中の基本だろーが。何学んでたんだよ、あの国で』


『覚えてないよ、そんな昔のこと……。あの時もわけわかんなくて、何となくでやってたんだから』


『そういや……向こうで訓練受けてたって言ってたけど、どれくらいだ?』


『一年か……二年、だったかな』


『この世界に来る前の年は覚えてるか?』


『え~? ……来年、小学生だって……話してたような……』


『なるほどな』


 リックの話を聞いて、マサトは『それなら仕方ない』と息をつく。


 事情がわからないユーファとフィーナに、マサトは簡単に説明する。


『よそからこの世界に転生したヤツは、よそで亡くなったころの記憶から始まってんだ。

 その分の知識を持った上で、この世界での生活が始まる』


「リックは幼くして……だったので、あなたほどの理解速度ではない、と言うことですか」


『そういうこと。ちなみに俺は十七だった』


 十七。


 それがマサトが前の世界で亡くなった年齢なのだろう。


 フィーナも初めて聞いたことだった。


 マサトがこの世界に来る前の話は――何となく、聞きにくかった。


『魔法は、俺とチビ助のような、この世界では異質の存在を間に挟むことで、現象ならしめてる。――ってことで、わかったか? これでわかんないなら、説明のしようがないが』


 告げるマサトに、はた、と気付いたフィーナが「ちょっと待って」と声をかけた。


「ってことは――伴魂って、元は他の世界で生きてたってこと?」


『生まれ変わりで言えばな。肉体は滅んでも残った精神――魂が、新しい肉体に宿って、新たな生を始める。それが異世界をまたいだってことだ』


「えと――じゃあ、伴魂って、元はみんなマサトみたいな人なの?」


 この国、サヴィス王国の国民は、全国民、伴魂を所有している。


 それほどの数の伴魂が、フィーナが知らないだけで、マサトと同じだと言うのか?


 マサトのような、異世界転生者であるというのか。



 思いながら、違和感も感じている。


 フィーナが知っている知人、友人、家族の伴魂のほとんどが、マサトとは異なると。


 彼らの伴魂は獣に近く、知識を保持し、主と言葉で意思の疎通を交わせるとは思えなかった。


 フィーナの言葉を聞いて、マサトは主の思いを察した。


『あー……。悪い、説明がまずかったな。

 伴魂だけじゃなくて、この世界の、瞳の色が黒以外の、魔力を保有する動物は、異世界からの生まれかわりってのは本当だ。

 転生するのは人だけじゃない。他の世界の動植物が、転生している。

 本来、この世界に生まれた時に、この世界に来る前の記憶はリセットされるんだが――アブルードは伴魂と成りえる動物を召喚して、生まれ変わる前の記憶を強制的に引き出してる。

 奴らが欲してるのは、元は人間だった、伴魂と成りえる動物だ。

 戦力として、申し分ないからな。

 ――このチビ助、こうやってボケっとしてるけど、アブルードに居続けたら、出来が悪くてもエリートだから。

 それほど、元が人の転生者は少ないんだ。

 ……まあ、アブルードに居続けたら、出来が悪いの、許してくれなかっただろうけど』


「あああ~~~~!」


 マサトの話を理解しようとして、真剣に話を聞いていたフィーナだったが、断念して、頭を抱えて声を上げた。


「ごめん、わかりやすく話してくれてるんだろうけど、付いていけない。

 わかるような、わからないような。

 わかった気がしても「あれ?」って、わかんないことが出てきて混乱してる」


 ユーファは、話は聞いているが、理解は諦めていた。


 マサトの話をそのまま覚えておこうと気概は感じる。


『ヤンチャなガキでも、貴重な存在ってことを理解してくれたらいいよ』





設定的な、小難しい話が続いてます。

すみません。


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