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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第七章 伴魂とこの世の理
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4.人の姿をした伴魂 4


 フィーナとの仲に関して、一通り話がすんだとカイルは判断すると、マサトに目を向けた。


「こちらの話は一段落したが……話せるか?」


 第二王妃、サラの側にいた男性――自身を「サラの伴魂」と名乗った者に関して、マサトが話すと言っていた。


 カイルとフィーナの関係について話している間、マサトは必要以上口出しは控え、その間、ずっと考え深げな表情をしていた。


 マサトは思考を巡らせながらも、カイル達の話を聞いていた。


 カイルに促されて小さく息をついたマサトは、ゆっくりと口を開いた。


『先に確認したいんだが、第二王妃の伴魂が何か、聞いているか?』


 王族の伴魂は象徴でもあるが、保全の為、公にされないのがほとんどである。


 国王、第一王妃である正妃は、国の象徴として自身の伴魂をつまびらかにしているが、伴魂自身がか弱い場合、安全を考慮して公表は控えている。


 ハロルドがルディの伴魂だと広く知られているが、シマエナガのフィービーがオリビアの伴魂だと知られていないのは、そうした理由のためである。


 カイルの伴魂は種別の判明しない亜種の伴魂だ。


 カイルの伴魂も公表されない部類に属していた。


 同じく、第二王妃の伴魂も知られていない。


 自衛できない伴魂だからと、周囲には思われていたが――。


「聞いたことはないな。明かされないのは、理由があるからと思っていた。

 理由までは考えたことがなかったが……」


 孝弘と名乗った男性が告げた内容をそのまま受け止めれば、彼がサラの伴魂となる。


 人型の伴魂など、聞いたことがない。


「婚姻の際、父上――陛下には伴魂が何かを明かしているはずだ。

 明かさぬまま、婚姻したとは思えぬ。

 人型の伴魂であったなら、何かしらの噂があると思うが。

 大前提として――あの者は、本当に伴魂なのか?」


 この場に居合わせた者、全員が抱く、根幹部分の疑念を聞いて、マサトは躊躇しつつ頷いた。


『間違いなく伴魂だ。上手く説明できないが、伴魂であるもの同士なら、感じて察する部分があるんだ。

 その感覚で、あいつが伴魂だと断言できる』


 そう言いきった後、マサトは少し考えこんでいたが、思い切ったように口を開いた。


『俺も状況も何も把握できてないから、事実だけ言っとく。

 第二王妃の伴魂と名乗ったアイツ。

 魔法を使う。

 人が伴魂の媒介を経て魔法を使ったのって、場所が近ければ『誰か使ったな』ってわかるんだよ。

 それが逆な感じがして、何か変だったんだ。

 俺がヤツに気付いたのも、その為だ。

 伴魂が魔法を使った気配を感じて、あいつの元へ駆けだした』


 マサトの言葉に、誰もが驚いた。


「伴魂って「魔法を現象ならしめるための、この世界の魔力と人の魔力の媒介」で、伴魂自身が魔法は使えないんじゃなかったの?」


 告げるフィーナにマサトは頷いた。


『俺もそう聞いてる。この国だけじゃない。

 アブルードでもそう言われていた。

 だからわかんねーんだよ。

 あいつが魔法が使えるらしいことが。

 わかんねーけど、知らずに警戒しないより、知ってて警戒した方がいいと思うから、イタズラに混乱するかもしれねーけど、わかってること、感じたことを話した。

 用心して欲しいから』


 マサトはそう言うと、同席する面々をぐるりと見渡した。


『ハロルドの部屋を出るまで元気だった第二王妃が、急に体調を崩したのも気になる。

 アイツは事情を知っていたようだしな』


 そう話すと、マサトはため息をついて、考えを巡らしているのだろう、口をつぐんで目を閉じている。


 マサトが思慮をめぐらせているとわかっていたが、どうしても気になったので、フィーナがおずおずと口を開いた。


「あの人――マサトと同じ世界から来た人なの?」


 言われて、マサトは閉ざしていた瞼を開いてフィーナに目を向けた。


「そう言ってたじゃない。

 同じところから来たみたいなこと。

 ――マサトは、あの人と仲良くしたいと思わないの?」


『は?』



 

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