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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第六章 フィーナとドルジェと市井の生活と
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59.ルディの答え 15


 何から聞けばいいのか、何から話せばいいのか。


 わからず、口を閉ざしているマサトにしびれを切らせて、孝弘はため息交じりに肩をすくめて――左手の通路にちらりと目を向ける。


 視線の先には、マサトを追ってきたフィーナ達の姿が見えていた。


「時間がないから、僕から話すよ。

 君のことは知ってるよ。

 フィーナ・エルドの伴魂でしょ。

 名前は知らないけど」


『――マサト』


「……ん?」


『俺の名前は、雅人まさとだ』


 告げるマサトに、孝弘は満足そうな笑みを浮かべた。


 そう話したころ、フィーナ達があと十数メートルほどの距離に来ていた。


 駆けてきた彼らが側に来るのに時間はかからず、マサトの側に来た時に、孝弘と呼ばれた男性は続けてこう告げた。


「僕の名前は小澤孝弘おざわ たかひろ

 君と同じく、この世界に来る前は、日本で生活していた。

 できればいろいろ話したいことあるけど、今は時間がないんだ。

 話しが聞きたいのなら、応じるよ。

 僕たちが聞きたいことを、君たちも答えてくれる条件でね。

 ――あ、そうそう。

 向こうの世界の知識は、君たちの専売特許じゃないからね?

 僕もそれなりの学問は修めてるから。

 ――あとは。

 雅人。君の感じているように、僕はサラの伴魂だよ。

 それを確かめたくて、とんできたんだろ?」


 小澤孝弘と名乗った男性は、マサトに話しながら、しかし内容はフィーナを含む、カイル、サリア、アレックス、レオロードにも聞こえていた。


 聞こえるように話したとした思えない。


「僕がサラの伴魂だとは、他には秘密だからね。ルディも知らないから。

 まあ、言っても信じないだろうけど」


 ――と、呆然と立ち尽くすフィーナ達に、口元に真っすぐに立てた人差し指を添えて、声量を落として付け加える。


 他の者に言えるわけがない。


 言っても鼻で笑われるだけだ。


 人が伴魂だと、信じるわけがない。


 そうした状況になることもわかった上で明かしたのだろう。


 目の前で告げられても、マサトとフィーナ以外は「何を世迷言を」と信じていなかった。


 無下にできないのは、マサトの神妙な様子と、マサトの感情を感じ取るフィーナが、自身の伴魂を見て戸惑いを滲ませているからだ。


「……とにかく、この場から離れよう。話は後ほど」


 告げるカイルに応じて、ルディの――第二王妃の居住区内を後にした。




 後日。


 クレンドーム国の使節団が来訪した際、王女との会食はルディが応対した。


 結果、ルディを次期王位継承者へと水面下で蠢く者達の動きが、一時的に弱まった。


 ルディ自ら進言して王女との会食を行ったことで、ルディに「争ってまで王位継承する意志はない」との考えが伝わったためでもあった。


 事実、それがルディの意志だった。


 オリビアが愚鈍な統治者となるなら、遠慮なく王位を奪う心づもりではある。


 今のところ、オリビアは王として必要な素地を見せている。


 それを混ぜ返すつもりはルディにはなかった。


 母である第二王妃、サラとルディの全ての基盤である、レイダム領が安寧であれば、それでよかった。


 そうしたルディの意志をほの見せた会談の前に。


 フィーナ達は状況把握に頭を抱えることとなったのである。

 




ようやく!

書けました、人型伴魂。

これは当初から考えていた設定でした。

(……でも、孝弘は直前に湧いて出たキャラですが……)


自分でも「猫と月の夜想曲」は世界が広がりすぎて、登場人物が多すぎて、どうなるのか、どこへ向かうのか、最後まで話しが書ききれるのか、収拾つくのか。

戸惑いつつ、書いてます。


書いた当初、大きな事象として考えてる事柄があります。

その事象のために、登場人物が多くなり、人の背景、世界観の説明も増えていってます。


終着点を見据えて邁進しています。

不思議と、考えてる終着に続く大きな事象は変わらないんですよね~。

中身が微妙に変わったりするけれど。


この話をUPしたら、あらすじを少々変更予定です。

ラストに考えている事象を、あらすじに書いてもいいんですが、予告詐欺は避けたいので、本文に掲載してから変更しています。

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