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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第六章 フィーナとドルジェと市井の生活と
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45.ルディの答え



 ドルジェからセクルトに戻ってから、フィーナ達は目まぐるしい日々を過ごした。


 まず、王都に入る前に、検問が敷かれていた。


 内容を聞けば、王都に入る前にフィーナを探しだそうとするものだった。


 調査団の意向を感じて、フィーナを布で覆い隠し、馬車の窓側にカイルが座って、アレックスとレオロードが王子護衛騎士の権威、カイルも王子としての権威をひけらかして、検問を素通りさせた。


 その足で、フィーナ達はセクルトの教師室へ足を向け、担任のダードリア含む教師に保護を願い出た。


 セクルトの教師陣も、レイダム領とカジカルの話は聞いていたのだろう。


「調査団からの依頼は聞いています。

 どう対処するかはセクルトの意向です」


 告げたダードリアは「学び舎の性質上、生徒に寄り添うのが基本」と言ってくれた。


 ……ただ。


「陛下の意向となれば、貴院校の立場からしても、逆らえない部分はあるのは理解してもらいたい」


 そう付け加えられた。


 セクルトに――ダードリアに提出した書類が、国の上層部に届くのが先か、調査団の手がフィーナに届くのが先か。


 そうした状況の中、カイルの尽力の甲斐もあって、フィーナに調査団の手が及ぶ状況は免れた。


 市井の民を人とは思わない、理不尽なやり取りが免れたことに、フィーナ達は安堵した次第だった。


 ダードリアやセクルトに提出した書類で、調査団からの聞き取りを免れたと思っていたフィーナ達だったが、その後、補足事項的に、ダードリアやセクルトの教師陣から聞き取り作業が行われた。


 フィーナが呼ばれた全ての席に、カイルとサリアが同席した上で、質問事項にフィーナは答えた。


 問い合わせ等、目まぐるしい日々が続いた後。


 やがて静かになった周囲の状況を見て、カジカルの聞き取り作業が終わったのだとフィーナ達は結論付けた。


 そうしてフィーナ達の懸念事項が拭えたのだが――。


 別の懸念事項は、残っていた。


 カジカルの騒動に紛れて、うやむやの内に終わればと思っていたのだが、思ったようにことは運ばなかった。


 カジカルの件も落ち着いただろう。


 そう思い始めたある日の朝、思案顔のカイルから、フィーナは話を聞いた。


「兄上に、呼ばれている」


 ――と。


「フィーナとサリアも同席するよう、求められている」


 とも。


 ハロルドの件で、いつかルディに呼ばれるのではと思っていたフィーナは、カイル宛の召集、サリアも呼ばれていることに、戸惑いを禁じえなかった。


 ルディにサリアの話はしていないのに。


「兄上も独自のツテがある。探ろうと思えば細事まで知ることができる」


 フィーナがサリアとカイル、二人と仲がいいと知られているのだろう。


 答えたカイルも、なぜフィーナに招集を宛てたのではなく自分に宛てたのか、疑念を感じていた。


 その答えは、召集に従ってルディの住居区画に赴いた時、知ることとなる。


 王位後継者、互いの微妙な関係もあるので、ルディの住居区画に赴く際は、カイルの護衛二人も同行した。


 カイルもフィーナもサリアも、伴魂を伴っている。


 サリアの伴魂は、人見知りが激しく、寮の同室者であるフィーナにも隠れてしまう。


 サリアの腰に巻いたウェストポーチの中で体を小さくしているという。


 サリアの伴魂は小型のイタチだった。


 寮の同室者であるフィーナも、素早く逃げる、黄金色の体毛しか見たことがない。


 カイルもフィーナも伴魂を伴うので、サリアも揃えた方がいいだろうとの考えだった。


 サリアとしても、伴魂の臆病さを少しでも解消できればと思っていた。王族が絡む、どうしても避けられない状況だと意思の疎通で説得して、どうにか同行できた次第だった。


 招かれた三人が伴魂を伴うこと、カイルの護衛も同行する旨は、事前にルディにも伝えて了承を得ている。


 指定された日時、指定されたハロルドの部屋に赴くと、部屋にはルディと彼の側仕えであるジェイクとダンケットが揃っていた。





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