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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第六章 フィーナとドルジェと市井の生活と
312/754

40.文献探し 35


        ◇◇      ◇◇




「二週間くらいで自然に落ちるらしいから!」


「二週間もこのままなの!?」


 焦っているのはサリアとアルフィード、ロアとターシャだ。


 マーサは「自然に落ちてくれるなら」と受け入れている。


 フィーナとしては皆、マーサと同じ反応をするだろうと考えていた。


 一生落ちないわけではないのだ。


 いいではないか、二週間くらい。


 なぜ、これほど反発されるのか、フィーナは理解できない。


「どうして!? 綺麗だからいいじゃない!」


「目立つでしょ! 綺麗だけど、恥ずかしいわよ!」


「注目されないって!」


 ……等々。


 喧々諤々の話を続けたあと、人前では「怪我をしたから包帯を巻いている」とすることで決着した。


 サリアとアルフィード、フィーナは時期が時期だけに、余計な注目を集めない方がいいだろうということになった。


 その考えにはカイル達、男性陣も賛同している。


 フィーナだけが、結論に頬を膨らませて不機嫌を露わにした。


「隠さなくても大丈夫よね!?」


 自身の伴魂に問いかけ、味方に引き込もうとしたが、マサトはげんなりとしつつ『隠した方がいいに決まってんだろ』と、隠す派の意見に寄り添った。


『ってか、目立ちたくないとか言ってるやつが、やることじゃないだろ』


「私自身が目立つのが嫌なの。

 注目されるのは雪原草の紋様なら別にいいの」


『あああああ。わけわからん。

 その思考回路っ!』


 フィーナと伴魂がやいのやいののやり取りをしている間に、ザイルはアルフィードとサリアから、手の甲にどのように写したのか聞き取っていた。


 ターシャとロアは恥ずかしそうに互いに紋様について話し、リオンは「生花でも何かしら効能があるのでは?」と興味深げに二人に状況を聞いている。


 そうしたリオンとロアに、アレックスとレオロードがそっと近づいて「書庫の本の貸し出し」を願い出ていた。


 そこはマサトの「地獄耳」で回避された。


『最初に言っただろ。他には漏らさないって』


 フィーナとのやり取りも中途半端に、アレックスとレオロードの側へシュパッ。と足を運ぶと、そう諭す。


 アレックスもレオロードも「秘密は守る」と息まいたが、マサトは首を縦に振らなかった。


『治療する時、どんな本が必要になるか、わからないだろ。

 必要だと思った時、なかったら困る。

 本を読みたいなら通えばいい。

 借りるなんざ、ザイルからしたらいいとこどりだ。

 薬草絡みもあるが、ザイルは書庫の本を読むために騎士をやめたんだ。

 そうした先人がいるのに、簡単に貸し出せるとは、俺も言えねーよ。

 ザイルも「そんなに読みたきゃ騎士やめれば?」……って思うだろうし』


 急に話を切り上げて、カイルの護衛、二人の元に行ったマサトの後を、フィーナも追った。


 マサトとアレックス、レオロードの話を聞いていたリオンとロアも「ないと困るわね」とマサトに同意する。


 リオンとロア、二人の意向を受けて、アレックスもレオロードも、渋々引き下がったのだった。


「ここで読む分には構わないのですか?」


『持ち出し不可、他言無用を守れればいいよ』


 話の流れから察するに、アレックスもレオロードも、本を読みたい時はドルジェに足を運ぶようだ。


「悪いわね。書庫の管理まで任せちゃって」


 マサトにロアが申し訳なさそうに告げる。


 それを受けたマサトは、尻尾をピンと立てて、揺らめかせた。


『気にすんなって。

 俺も読みたい本、結構あるし、恩恵預かれてるし。

 整理すんの、俺の為でもあるんだから』


「そう?」


 ――と、ロアがマサトと話している。


 ロアだけでなく、リオンも普通にマサトと話していた。





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