47.第一王子の伴魂 11
世話係は建前。ハロルドの魔力枯渇をどうにかできないかと奔走しているのに、主が行動を阻むのだ。
それが良かれと思った行動であったとしても、邪魔なものは邪魔だ。
苦々しいマサトの感情を受けつつ、側仕え二人の様子を気にしながら、ルディと今後の日程調整を話した。
平日は無理だろうから、休みの日を軸に世話を行う。休日にこの部屋に赴くが、平日も時間がとれれば来訪しても構わない。休日も、都合が悪ければ無理をしなくていい。
……と、かなり緩い取り決めとなった。
(あれ……? これって……)
(――『気が向いた時でいいってことか?』)
もしかしてと思っていたことを、マサトが代弁するように呟いた。
(――そういうことだよね?)
(――『だな』)
フィーナもマサトもルディの真意がわからず、首を傾げつつ、こちらとしてはありがたいので受け入れた。
側仕えの二人は眉をひそめていたが、ルディの判断に従った。
明日、ルディから施設内への入室許可証を発行され、フィーナに届く手筈となった。
そうした話を終えて、フィーナとマサトはセクルトに戻ったのだった。
セクルトに戻る際も、途中、目隠しをされた。
世話係として通う際、都度都度目隠しされるだろう。
思いながら、フィーナはセクルト校内に戻ると、どっと疲れに襲われた。
すでに午後の授業時間は終了し、放課後となっている。
荷物は教室に置いたままだったので、疲れで重くなった足で向かったフィーナは、そこで認識を改めた。
大変なのは、ルディと側仕えの方々、ハロルドだけではない。
教室には、カイルとサリアがいた。その様子から、フィーナの帰りを待っていたのだとすぐわかった。
カイルはフィーナを見て、心配していた表情を安堵に緩めたが。
「――フィーナ……?
今までどこ行ってたの……?
ルディ殿下が来られたって、どういうこと……?」
カイルと同じく、心配の表情を浮かべていたサリアは、静かな怒りを灯した表情をフィーナに向けたのだった。
ひぃっ! と背筋を正して縮みあがりながら。
カイルとサリアを説得しなければならないと、思い至ったのだった。
少ないですがすみません。
きりのいい所で区切ってます。




