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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第五章 それぞれの勉学事情
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42.第一王子の伴魂 6


「与えるのは一日十粒程度にお控えください」


「なぜだ?」


 制限があると思っていなかったのだろう。ルディが驚きの表情を浮かべてフィーナにたずねた。


「ハロルド様にとってはお酒と同じようなものです。取り過ぎは体に良くありません」


「そうなのか」


「それと、できましたら殿下がしばらく身に着けていた物をお与えください」


「身に着けたもの?」


「衣服のポケットに入れておいたり、小袋に入れたものを首から下げておいたり。体近くにあった物を、伴魂様も喜ぶはずです」


「意味があるのか」


「しばらく身に着けていた物に魔力が移ります。伴魂は主の魔力を糧とします。主の魔力が染みた食物は、伴魂様にとって何よりの嗜好品なのです」


「……なるほど」


 ルディはフィーナの話に納得しつつ、眉を寄せた。


「なぜそのようなことを知っている?」


「私の伴魂で経験しました。偶然ですが、長らく衣服のポケットに入っていたサンザシの実を与えた際、伴魂がひどく喜びました。その時、伴魂との意識下の会話でわかったのです」


 ルディはフィーナの話に理解を示した。


 そうした後、本題へと話題が転じる。


「それで、世話係の件だが――」


 期待するルディを見て、フィーナは背筋を正し、覚悟を決めて口を開く。


「私も学生の身です。正直、どれほど時間がとれるか、わかりません。


 提案なのですが、二週間ほど試用期間を設けて頂けませんか?」


(二週間たったら「やっぱり無理です」――って、断る前提だけど)


 胸の内で呟きつつ、フィーナはルディの反応を伺った。


 ルディはフィーナの提案に驚いていた。 


 受けるか受けないかの返事を想定していたので「お試し期間」の話が来るとは思っていなかったのだ。


 フィーナの提言にルディは「そうだな」と納得した。


「世話に時間を取られて成績が下がっては、頼んだ私も困る」


 そう話して、ルディはふと気付く。


「定期試験はどうだった? 来年のスーリング祭には参加できそうか?」


 成績には触れてほしくないフィーナは「う……」と詰まりながらも「……今のところは……」と頬を引きつらせて答えた。


 入学試験の好成績は「まぐれと時の運」も通用するが、同じ成績が続くと「実力」となる。


 普段は級友も教師も触れないようにしていたので、話題とする場がなかった。喜ばしいことに。


 事情を知らないルディはフィーナの答えに驚きつつ、小さく感嘆の息をついた。


「市井出身と言っていたが、賢明な者に師事していたのか?

 ――そう言えば、ザイル・ベルーニアが同伴者と言っていたか。

 オリビアのつながりで学ぶ機会があったのか?」


「っ! そう! そうなのです!」


 嘘ではない。ザイルから学んだ事柄もある。――世間話の延長で。


 フィーナの答えにルディは納得した。


 その後、ルディは秘匿者二人を下がらせて世話係二人を呼び、フィーナに世話の指導を指示し、部屋をあとにした。


 世話係の二人は、ルディに一礼して指示を受け、フィーナに作業に関して教え始めた。


 世話は食事、室内の掃除、時々ハロルドの洗毛を行うとのことだった。


 世話係二人も、しばらくすると部屋から出ていった。


 彼女らは世話係専任ではないという。使用人としての仕事の中に、ハロルドの世話があるとのことだった。その世話も、使用人の持ち回りで行われると言う。


「時々、側仕えの方もいらっしゃるけど」


 言いながら、話のかたわら、ハロルドとじゃれているフィーナに感嘆の眼差しを向ける。


「あなた、側仕えの方より伴魂様になつかれているのね」


 その意味する内容がよくわからないフィーナは「はぁ……」と返事をしながら首を傾げた。





久々の更新です。すみません。

リアルの環境の変化に戸惑ってました。


コロナ。

拡大ひどいですね。

遊びも外食も普段生活の外出も必要外は控えています。

結局は個々人の意識なんでしょうね。

実家に帰ると、妹に「手洗いうがいはちゃんとした?」と毎回言われます。

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