表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第五章 それぞれの勉学事情
190/754

1.前期定期試験の結果【サリアの成績】


         ◇◇         ◇◇



 フィーナはカイルから話を聞いて、事情を知った。


 それまで、何も知らないまま過ごしていた。


 ――自らが望んだ同室者だというのに。


 誰よりも近しい場所で、共に過ごしてきた友だというのに。


 セクルト貴院校に入学して半年。


 セクルト貴院校では、年に二回、前期後期に分けて定期試験が行われる。


 授業の進み具合によって、各クラス担任が行う小テストとは異なり、定期試験は同一日同時間帯、各教科ごと、同じ問題を各学年一斉に行われ、結果は記録に残り、前期後期、総合した結果が一学年の成績となり、次学年のクラス割りに関わってくる。


 通常、一学年時に分けられたクラスから大きく変動することなく、ほぼそのまま持ちあがりになるという。


 定期試験は、入学試験と異なり、これまで授業で学んできた内容から試験に出題される。


 応用は施されているが、これまでの授業を理解していれば、合格点となる半分は取得できる問題となっていた。


「……サリアが……クラス落ちするかもしれないってこと?」


 放課後、他のクラスメイトが居ない時にカイルが切り出した。


 クラスの後方隅に、カイルと向かい合って座り、教室の出入り口にはアレックスとレオロードが護衛として控えている。


 フィーナの足元では、マサトが体を丸めていた。


 護衛二人には話が聞こえない距離で、フィーナとカイルは話していた。


 カイルの話を聞いて、フィーナは目を瞬かせた。

 空耳ではないか、内容を勘違いしているのではないかと思ったが……神妙なカイルを見て、現実なのだと実感した。


 フィーナの反応を見たカイルは「……やはり、知らなかったか」と息をつく。


「俺も、きちんと聞いたわけではないんだ。アレックスがサリアの教室の前を通った時に耳にしてな。

 最初は意味がわからなかったらしいが、思い返して、そういった内容の話だったのではないかと、話してくれた。

 フィーナはサリアと同室だろう。何か聞いているかもと思ったが……やはり聞いていなかったか」


 フィーナの様子とサリアの性格を考えて、カイルはその可能性を考えていた。


 アレックスからカイルに視線を戻したフィーナは、緩く首を横に振った。


「……何も……聞いてない……」


 試験の結果が個人に通達されたのは、一週間前のことだ。


 試験結果は公表されず、自ら明かさなければ他の者にはわからない。


「どうして……カイルは知っているの?」


 当初、カイルはフィーナにこう切り出した。


「サリアから、クラス落ちの話は聞いていないか?」……と。


 クラス落ち。


 一学年時に割り振られたクラスが、ほぼそのまま持ちあがりとなるセクルト貴院校に置いて、成績順で決まるクラスが落ちることは、著しく成績が悪いことを意味していた。


 個人の成績は本人しかわからない。


 なぜカイルが知っているのか。


「アレックスが聞いたのは「クラス全体の成績を著しく落としている生徒がいる。親が聡明な大臣でも、子がそうであるとは限らないようだ。このままだとクラス落ちも仕方ない」。……そのような話をサリアの担任が話していたらしい」


「先生が?」


 フィーナは耳を疑った。


 サリアの父親が何かしらの大臣だと、フィーナも知っている。他に大臣の子女の話を聞いたことがないので「大臣の子」と言われれば、それはサリアを指しているも同然だ。


 成績は本人にしかわからない仕組みになっているのに、先生が話した内容はサリアの成績を端的に公表しているも同じだ。


 その状況に、フィーナは驚きを隠せずにいる。


 カイルも苦い表情を浮かべていた。


「事実を確認しておきたかった。話を聞いていればと思ったんだが――」


 本人に直接尋ねるのも気が引けるので、万が一の可能性を考えて、先にフィーナに聞いたのだという。


(サリアが……クラス落ち?)


 フィーナには信じられなかった。





活動報告にも書いてますが。

3つ候補にあったネタのどの話を持ってこようか、迷って、こちらになりました。

サリアの勉学事情は、第二章から考えてたものでした。

校外学習が終わったところなので、それをからめて話ができるな。とも考えたので。


数日間、更新できなかったのは、どのネタにするか、迷ってたからです。

書き始めれば、それほど時間かからないのですが。(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ