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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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56.国交とフィーナの立場 12



「いじめっ子は嫌いよ!」


「い……いじめっ子……?」


 想定外のフィーナの言葉に、ザイルが戸惑う。


「実力の差が大きくて、それを捩じ伏せて!

 私はザイルの訓練受けてたから、何をしようとしてるのか、何となくわかるけど!

 リーサス様はそうじゃないでしょ!?

 それなのに、いきなり攻撃されても、何をすればいいか、わかるわけないじゃない!」


「言いましたよ、硬盾デュスクで守れと――」


「それだけでわかれってほうが無理よ!

 硬盾デュスクで守れ?

 何を?

 硬盾デュスクを成すことが目的?

 硬盾デュスクで自分を守ること?

 それとも他の何かを守れってこと?

 ――そんなの、ザイルの考えがわかってないと、対応できるわけないじゃない!

 マサトも!

 なに他人事として見てるのよ!

 止めてって言ったら止めてよ!」


『いや、リーサスも騎士だからな。

 あれくらいでどうにかなるような、やわな奴じゃねーよ』


「うるっさいわね!

 私の伴魂でしょ!? こういう時くらい、主の言うこと聞きなさいよ!」


『うわぁ~……。無茶ぶり、きたぁ~……』


「それとザイル!

 リーサス様の件はもういいでしょ!?

 ザイルに邪魔されたけど、私、まだ話終わってないんだから!」


「しかし――」


「しかしもでももないわ!

 これ以上、とやかく言うのなら、グラタン、ザイルには食べさせてあげないから!」


「『ぐらたん』!? 何ですか、初めて聞きますよ!

 『すいーとぽてと』もまだだというのに!」


「スイートポテトはマサトに言って! 私は知らないと言ったでしょう!?」


「わかりました! わかりましたから、せめて『ぐらたん』は作って食べさせてください!」


 食を人質にとって、ザイルに口出しさせない約束をとると、フィーナはリーサスの側に歩み寄った。


 ザイルにねじ伏せられていたリーサスも、長兄から解放されて、剣の鞘を支えに立ちあがっている。


 土で汚れた頬を拭いつつ、フィーナとザイルのやりとりを呆気にとられて見ていた。


 そうしていたところへ、自分の側に来たフィーナに、自然と身構えてしまう。


 不機嫌と怒りの表情を浮かべるフィーナは、ザイルとマサトに対する苛立ちがおさまりきらないまま、肩をいからせてリーサスに対峙した。


 ……苛立ちの一部分は、リーサスに対するものでもあった。


 フィーナは物怖じすることなく、リーサスを正面から見上げて、口を開いた。


「リーサス様。

 リーサス様の気分を害することを申し上げたことには謝罪いたします。

 そうしたことを理解したうえで、あえて申し上げさせて頂きます。

 どうか、今一度、魔法の使用方法を見直して下さい。

 正直に申し上げます。

 あなた様の魔法が上達しようがしまいが、私にはどうでもいいことです。

 これまでと同じ方法で魔法を使い続け、リーサス様の体にどれほど負担がかかろうが、知ったことではありません。

 ですが――そのせいで伴魂に負担を強いていることは御理解下さい。

 先ほどのように、リーサス様が前詞アンセルを間違い、補正を伴魂が行った。

 それは通常より数倍の負担を伴魂に強いているのです。

 ――お気づきになりませんか? ご自身の伴魂の呼吸が荒くなっていることに。

 お願いですから、ご自身の伴魂に無理を強いる魔法の使用を見直して下さい」


「お願いします」と告げて頭を下げるフィーナに、リーサスは唖然とした。


 フィーナがリーサスに苦言を呈したのは、リーサスの伴魂を思ってのことだと、考えもしなかったのだ。


 リーサスはつと、地面を見下ろした。


 リーサスの伴魂であるモモンガは、ザイルの攻撃を受けた時、大事をとってリーサスから離れていた。距離をとっていたものの、伴魂がリーサスを心配する意識は、ずっと感じていた。




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