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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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50.国交とフィーナの立場 6


 見学者たちに目を向けると、それぞれ、異なる表情を浮かべていた。


 オリビアとディルク、アルフィードにゼファーソン、アレックスにレオロードは「そんなものだろう」と想定内の表情を浮かべている。


 カイルはなぜか思い切り眉をひそめている。――それがなぜかは、リーサスには判断できなかった。


 傍らに視線を向けると、驚きに目を丸くしているフィーナ、呆れた吐息を漏らす彼女の伴魂。


 そして。


 長兄のザイルは驚きと呆れを内包した眼差しを向けていた。


 他の面々と明らかに違う反応に、リーサスは戸惑う。


 魔法は発動した。


 なぜ、ザイルが非難めいた眼差しを向けるのか、理解できなかった。


「苦手なのは知っていたが……それでよく発動したものだ」


「え?」


前詞アンセル……間違っても発動するんだ……」


『貴族籍の魔力の力技だな。あと伴魂が補正してた。前もって何の魔法使うか、伝えてたから手助けできたんだろ。突発的にしようとしたら、不発だったろうな』


 ザイル、フィーナ、マサトが続けて告げる言葉に、リーサスはわけがわからず、途方に暮れていた。


 魔法は発動したのだ。


 間違いなどないはずだ。


 未だ間違いに気付かない弟に、ザイルは嘆息した後、指摘する。


「水の女神。アクアリューネの名を奉じていなかったぞ」


「……あ……」


 言われて、思い出す。


 確かに、前詞アンセルに女神の名があったはずだ。


 前詞アンセルを間違っていたのに魔法が発動した。リーサス自身、その事実に驚きを隠せない。


『ま、いいじゃん。おもしろいの見れたんだからさ。

 考えてみると、そうだよな。前詞アンセルなしでも発動するんだから、前詞アンセル間違って発動することもあるよな。呪文ルキさえ間違えなけりゃな。

 考えもしなかったよ』


『けけけ。』と、マサトは意地悪く笑って、弟に苦言を呈そうとするザイルを諌めた。


「おもしろいとかじゃないでしょ」


 腕の中で愉快げに笑うマサトを注意して、フィーナは「あの……」とリーサスに声をかけた。


「体、大丈夫ですか?」


「……体?」


前詞アンセル間違ってたせいか……魔法の伝わり方、歪んでたように見えたから……。体、きつくないですか?」


「きつい……とかは……わかりませんが……。魔法を使用したあとは、ひどく疲れますが……それが普通なのでしょう?」


「普通……」


 普通がどういったものか、フィーナにもわからない。


 フィーナも魔法を鍛錬し始めたころは、初歩的な魔法でひどく疲れたものだ。


 しかしそれも、鍛練を積み重ねたことによって、次第に疲労感が少なくなっていった。


 マサトの指導を受け続けた今なら理解できる。


 何事も、基礎と基本、理念と理解が重要なのだと。


「えっと……間違った理解と使用方法って、すごく体に負担がかかるんです。

 魔力も余計に必要だから……だから……ええと……リーサス様……でしたっけ……?」


 名前が合っているか、つぶやきながらザイルを見て確認する。


 ザイルは渋面のまま、小さく頷いた。


「リーサス様が魔法を使って疲れるのなら、すごく効率の悪い方法をされているんです。

 ですから――」


「失礼ですが。アルフィード様の妹君とのことですが、カイル殿下と同じ学年なら、魔法は学び始めたばかりでしょう?

 魔法は苦手ですが、私はセクルトを卒業しています。

 セクルトで一通りの教授を得ています。

 初心者であるあなたが、少々魔法に長けているからと言って私に指導しようなど、どういった思いあがりですか」


「――え……」


 向けられた敵意に溢れる言葉に、フィーナは硬直した。



フィーナの魔法とリーサスの魔法の違いを書いて。ってところだったんですが、なんか雲行きがあやしくなってます…。(汗)

リーサス。

もともと「我が道を行く」タイプだったんですけど。

…あれ? って、感じです…。

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