35.白い伴魂の事情【確認事項】
オリビアも、ザイルとの会話から自身の答えに気付いたが――。
それでもまだ、迷っているようだった。
今日の話はそこで区切られた。
『質問はないか』とマサトが面々に尋ねたが、誰もが思考が追い付かず、何も聞くことができなかった。
マサトは質問がないのを確認した後、オリビアを見て口を開いた。
『頼みがある。
アブルードとの国交が今、どうなっているのか、調べてくれないか?
公的に国交を絶っているのか、単に疎遠になっているだけなのか――。
状況によって、対処も変わってくるだろうから』
そうした頼みもあって、オリビアを含めた面々の前で、マサトは自身の事情を話したのだと言う。
オリビアは了承した。
「私たちにも……関わる事だろうから」
言って、カイルに目を向ける。
カイルはアレックスとレオロードに目配せをして、状況を確認するよう促す。アレックスとレオロードはすぐさま頷いて、了承の意を示した。
オリビアもディルクとアルフィードに目配せして、同様に状況の確認を促した。
ディルクは受けた視線に頷いて了承を示したのだが――。
「……アル?」
アルフィードは顔を強張らせて、マサトを凝視していた。
――向けられた、オリビアの視線にも気付かないほどに。
オリビアに声をかけられて、アルフィードはハッと我に返る。
「……大丈夫?」
「……。……ええ……」
かけられたオリビアの声に答えるものの、どこか……心もとないような……不安を覚える様子を見て、オリビアはディルクに「二人で打ち合わせをするように」と告げた。
アルフィードの様相から、彼女がオリビアの発言を聞いていたか、危ぶんでのことだった。
それも仕方ないだろうと、オリビアは思う。
仲のいい妹が、危険な立場に置かれているのだから。
姉として――家族として、心配するのは無理からぬことだろうと考えていた。
そうしてその場はいったん、解散となった。
口外してはならない事象を再度確認し、報告なり質問なりは、オリビアかカイルを通すこととなった。
今回、集められた面々は、カイルかオリビアか、どちらかに親しい面々である。
話があったときには、オリビア及びカイルは、互いに情報を共有するようにとも申し合わせることとなったのだった。
すみません。また短いです。
ここでいったん、マサトの過去に関する情報共有は終わりです。
……けど、情報共有だけで、過去の話はまだまだあります。
今回は端的に話しているので、これから時折々に、詳細が明らかになっていきます。
そして伏線回収はまだ続きます。