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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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33.白い伴魂の事情【異世界転生者】


「イセカイ……テンセイシャ……?」


 誰ともなく呟く。マサトが面々を見渡した。


『俺が生まれる前の記憶を持っていると聞いて、わかるか?』


 戸惑う面々の中、わかるもの、わからないものと分かれた反応となった。


『俺の場合で言うと――人として生まれて死んで。その後、ネコとして生きているが、そうしてネコとして生きながらも、その前の人としての記憶があるんだ。それを「転生者」という』


 人から動物へ――。


 話を聞いて眉をひそめるものもいる中、マサトは話を進める。


『俺の場合、ネコとなる前が人間で、異世界で生活していた』


「イセカイ……とは……?」


 質問をしていいのか戸惑いながら、カイルが口を開いた。


 カイルも、このような話になるとは思っていなかった。


『この世界でない――様々な概念が異なる場所――……って言っても、わからないだろうな』


 マサトは他の面々に比べて大きな驚きを見せていないザイルに目を向けた。


『異世界って、わかるのか?』


「はっきりとはわかりませんが。

 理解しようのできない世界。……とは、わかります。

 すいーとぽてと。……が、どういうものか、期待はしていますよ」


『――なるほどな』


 ザイルの言葉を聞いて、マサトはにやりと口元を緩めた。


『フィーナ。前は叱って悪かったな。

 お前のしでかしたおかげで、少しは理解してくれそうだ』


「え!?」


 急に名を呼ばれ、びくりと体をすくめてキョドキョドする自身の主に説明もなく、マサトは居合わせた面々を――校外学習に同行した面々を、ぐるりと見渡した。


『シチューとサンドイッチ。うまかったか?』


 マサトの言葉に、校外学習に参加して、どちらの料理も口にした面々が、目を見開いた。


「あれって……」


 オリビアが、あえぐように呟いたが、もう誰も非難しない。


 オリビアの発言は、校外学習に参加して、どちらの料理も口にした面々の想いを代弁したものだった。


『こっちの食材や調理道具にあわせてアレンジしているがな。

 こっちに来て、食べたくて我慢できなくて、この世界でも作れそうなのを、フィーナに頼んで作ってもらってたんだ。

 それをフィーナも家族も気にいって、村に広がったって経緯もある。

 ――フィーナ。俺たちが作ったのが村に広まったんだ』


「え? そ――そう、だったっけ?」


『そうだったんだよ』


 フィーナに釘をさしつつ、マサトは話を進める。


『とにかく。俺は生前の、この世界とは異なる記憶を持っている。

 そしてアブルードは、俺のような異世界転生者を集めていた。

 アブルードが欲していたのは、異世界の知識。

 俺のような異世界転生者は他にもいたよ。

 そうした転生者の知識や転生者自身を使って、近隣諸国を侵略していた。

 御大層な理念掲げてたが、やっていることは単なる侵略だ。

 次第に俺も、変だと気付いて――。

 そのあと、いろいろあって、アブルードから逃げたんだ。

 この国までどうにか逃げのびて、魔力が枯渇して死にかけてるところを、助けてくれたのがフィーナだった。

 そうした経緯で、フィーナの伴魂になったんだが――アブルードからの追手が来たことがあった』


 フィーナが伴魂を強奪されようとした時のことだろうと、誰もが思い至る。


『襲撃は一度だけだった。

 それから身を守るために、フィーナも訓練したんだ。

 あとでアブルードの国内がゴタゴタしていると聞いて、他に目を向ける余裕がないと思っていたんだ。

 今も前に比べたら、落ち着いているらしいが――まだ他に目を向ける余裕はないはずなんだ。

 狙われているのは、俺とフィーナだろうと思っていたんだが……それがなぜか、今回は王族に標的が向いている。

 それが想定外で――なぜなのか、わからないんだ』




フィーナにも話した、マサトの過去です。

どう説明させようか、迷いました。

食事の件で説明は、ザイルが話したことで、そうした流れになりました。

当初、フィーナとマサトで説明を。……と考えていました。

マサトの事情説明。

もう少しで終わります。

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