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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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31.白い伴魂の事情【偽ニック遭遇時の状況】


 中断を余儀なくされたカイルは「どこまで話したか」と考えた後、再度、同じことを口にした。


「偽ニックと遭遇した後。フィーナの魔法に助けられて、逃げることができました。

 その際、フィーナが使用した魔法は、これまで聞いたことのないものでした」


 そう話した後、カイルは、休憩所でニックが護衛騎士の名簿に名がないことを知り、フィーナを案じていると、光りに包まれたかと思うと、視界が開けた時には、目の前の景色ががらりと変わったと告げた。


 ――それが、カイルの伴魂が成した技だとマサトは言うが、それについてはカイルはこの場でも伏せていた。


 とにかく、光りに包まれて、気付いた時には森の中にいて。


 そうした時、ニックが数メートル先に居ることに気付いた。


 側にフィーナの姿はない。


 ニックの目的が、フィーナの伴魂強奪だと思っていたカイルは、フィーナの所在を問いただしたが――。


「ニックは好機と告げて、剣を抜きました」


『俺とフィーナは、ニックをやりすごして茂みに隠れていたんだ。

 そこへ、なぜか突然カイルが出現するし、ニックはカイルを狙うし。

 状況がわからなかったが、カイルを庇って、ニックと対峙することになった。

 ――って言っても、伴魂の俺は出来ること少ないから、そこはフィーナが踏ん張ってくれた』


 名を上げられ、フィーナは「ひゃっ」と身を震わせて、目を瞬かせている。


 そのフィーナをつと見て、マサトは言葉を続けた。


『ニックに付いていった時から、変な感じはしてたんだ。そこかしこに殺気だった気配はあるのに、どこへ向けられたものか、わからない。

 潜んでいる輩も複数いるみたいだが、同時に動いてるもんで、把握しきれずにいた。

 ニックは「伴魂欲しがってる人がいるから譲れ」と言うが気迫がない。

 とりあえず、言われたことをこなそう――。そんなやる気のなさは感じていた。

 そんなニックを煙に巻いて、隠れて、やりすごそうとしたところへ、何でかカイルが現れた。

 カイルを見て、ニックはさっきまでのやる気のなさはどこへやら、殺気をみなぎらせて剣を抜いたんだ。

 まずいと思って、対処したよ』


「その時、フィーナとマサトはいくつかの魔法を使用しました。

 どれも高度な魔法と思われるもので――聞いたことのないものでした。

 献身的な護衛と、フィーナの魔法によって、偽ニックを捕縛できたのですが――。

 その際、偽ニックが自害したのです。

 後は、休憩所に戻る道すがら、マサトとの話から、姉上を標的にする輩の話を聞きました。

 休憩所に戻ると、姉上の護衛をしているはずのディルクが居たので、焦りました。

 事情を話すと、姉上の元に駆けつけました」


 そこで、カイルは口を閉ざして、オリビアに目を向ける。


 無言ながら、弟の意図を察して、オリビアは嘆息した。


「こちらの状況を話せと言うことかしら。

 私の方は、前に話した通りよ。

 オーロッドの襲撃を受けて、シンとディルクの助けがあって、事なきを得たの」


「その際、何かありませんでしたか?」


「何か?」


「姉上を襲撃した以外、オーロッドの素行に、違和感を感じるところは――」


「――なかったと思うけど……」


 言いながら、オリビアはディルクとアルフィードに目を向け――。


「――そう言えば……」と、アルフィードを見て、ふと思い至ったことをオリビアは口にした。


「アルが硬盾デュスクで守ってくれたんだけど……簡単に破られたのよね。

 硬盾デュスクを無効化する魔法なんて、初めて見たわ」


 硬盾デュスクは、騎士の使用頻度の高い魔法の一つだ。


 腕や手の平に硬盾デュスクを出現させ、盾として剣戟を弾くものとして、よく使われていた。


 アルフィードが硬盾デュスクを突発的に使用できたのも、騎士団に足を運んでいた折、その魔法をよく目にしていたからだ。



過去の振り返り場面が続きますが、当時、明かしていなかった状況説明です。

カイルとフィーナ、マサトしか知らなかった状況を、共有していきます。

……オリビアとザイル、「途中質問OK」にしてたら、話が全く進みませんでした。

ザイルが釘をさしてくれたおかげで、話が進みます。

書いてる途中、オリビアの質問は何回も挟みそうになりましたから。


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