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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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23.フィーナの答え【フィーナの想い】


       ◇◇         ◇◇



 今日中に王都に戻るためには、午後の便、最初に出立する馬車に乗らなければ間に合わない。


 馬車はいくつかの村や町に立ち寄って、人々を運ぶ仕様になっている。


 三人がけの座席、それが四つしつらえてある馬車には、ドルジェを出立する時には、フィーナと伴魂、それともう一人、ドルジェ前から乗っている客が一人、居るだけだった。


 馬車は庶民には高価な交通手段なので、一般には普及していない。


 フィーナが通うセクルト校では、生徒には自宅帰省時の為に無料となる券が支給されていた。


 いつでも使用できるわけではなく、前日の午前中までに申請が必要とされているものだった。


 馬車内はきちんとした箱型になっていて、雨風防げる使用であり、室内は適度に温度を保つよう、魔法も施されている。


 馬車に揺られてセクルトへ向かいながら、フィーナは無言で窓の外を眺めていた。


 馬の足並みに伴って、ゆっくりと景色が移ろいゆく。


 そうした景色を眺めながら、膝の上に抱いている白い伴魂を終始、撫でていた。


 いつもなら、意識下の会話なり、人が少なければ小声で談笑するフィーナと伴魂だったが――今日のフィーナは終始、口をつぐんでいる。


 物思いにふける表情を見ると、マサトも何も言うことができず、フィーナの思うまま、するままに身を任せていた。


 乗合馬車は王都に着くと、一度停留所に止めて、人を降ろす。そうした中、乗客にセクルト貴院生、もしくは城に仕える役人がいると知ると、そのまま馬車を走らせ、王城まで乗客を運ぶのだった。


 これまでは、終着点である王城区域まで、馬車に揺られていたのだが。


「降ります」


 と、フィーナは王都についた段階でそう告げると、自身の伴魂――マサトを胸に抱いて馬車を降りた。


 無料チケットは、申請した区間内なら、何度も使える。


 行者はフィーナのチケットを目視で確認を取ると、下車に応じた。


 本来なら、この時か、もしくは乗車する前に運賃のやり取りが生じるのだが、チケットを提示すれば、申請した区間内なら、どこでも乗り降り可能だ。


 運賃を払う代わりにチケットを提示し、そしてステップ側にある、乗降時の支えに手を置くことによって魔力を検知、個人を特定して、後日、セクルト貴院校――運営している国へ運賃が請求される。


 広大な王都内にも、馬車は走っている。


 セクルト貴院校に戻る時にはそうした交通機関を使用するのだろうと、マサトも考えていた。


 フィーナはマサトを腕に抱いたまま、歩いていた。


 街路地を抜けて、緩やかな坂道を登っていく。


 階段を登った先は、石畳の広場があった。その先にある、石製の柵についた時、開けた景色にマサトは感嘆の声を漏らしていた。


 いつの間にか、高い位置まで登っていたようだ。


 眼下には王都が広がり、遠く視界の先には、王都を囲う巨大な石塀が薄ぼけて見えた。


 小さく見える建物を見下ろしていると、フィーナはマサトを石柵に乗せた。


 石柵は成人者の手ほどの幅が有り、マサトが座れる広さを有していた。


 フィーナも石柵に手をついて、眼下の景色を堪能している。


 高所だからだろう。下方から吹き上げる風がそよいで、フィーナの髪を、マサトの純白の体毛を揺らしていた。


「眺めいいでしょ。サリアが教えてくれたの」


 頬をなでる風を気持ちよさそうに笑って、マサトに話しかける。


『――そうだな』


 側に人が居ないのを確認して、マサトは小声で答えた。


「――ずっと考えてたんだけど……」


 話し始めるフィーナに、マサトはゆっくりと顔を向けた。


『答えは急がないが……』


 言いながら、自分の胸の内に微かながらも不安が生じていた。


 自分で言っておきながら、フィーナの返事を恐れる自分がいた。


「どうして、私と契約したままにしてたの?」



すみません。

寝坊しました~。

いつも午前6時くらいに更新しようとしてますが、今日はおきれませんでした……。

これまで、6時を過ぎての更新は、調整が長引くパターンなんですが、今日は疲れでおきれませんでした。

昨日は抜歯の抜糸の為(ばっし。どっちも呼び方同じですね)、仕事休んで、連休中に行こうと思ってた美容室に行って、時間かかるメニューをいろいろしたので、約6時間かかって……。

疲れました……。

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