表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
145/754

18.告白【マサトの過去】


「……巻き込んだ?」


 自身の伴魂が告げた言葉を反芻しながら、フィーナは首をかしげた。


 何をもって巻き込んだというのか、わからなかったのだ。


 しばらくして顔を上げたマサトは、それから話しを進めた。


 ――それはフィーナが初めて聞くものだった。


『何から説明すればいいのか、俺もわからないんだが――。

 とにかく、これが大前提だ。

 俺は異世界転生者で、過去の記憶を有している』


 生真面目な顔で告げるマサトだったが――案の定、フィーナは怪訝な面持で首を傾げていた。


「イセカイ、テンセイシャ――? 

 ……って何?」


『やっぱ、そう思うよなぁぁぁあああ』


 フィーナの反応はマサトも想定内だったのだろう。


 盛大にため息をついて、説明に苦慮していた。


『過去の記憶が――生まれ変わる前の記憶があるっていうのは、何となく想像できるか?』


「それは何となく……。けど、そういうのって、あるの?」


『あるらしい。俺がそうだし。よくあるのまれなのかは、俺もわからんが。

 ――それでだ。

 その過去の記憶が、異世界で生きていた俺の記憶なんだよ』


「えっと……。……イセカイって?」


『この世界とは違う世界のことだ』


「この世界とは違う?」


『あー……。

 俺の前の世界には、この世界で使うような魔法はなかった。

 伴魂もいないし、魔力っていう概念もなかった』


「え!? そうなの!?」


 反射的にそう告げながら、フィーナはその世界を想像していた。


 魔法も使えない。


 伴魂もいない――。


「――めちゃくちゃ不便そう……」


 火をおこすのにも魔法が使えないとしたら。


 魔法を使わず、火を起こしてみようという授業を、小児校で経験したフィーナは、その労力を考えてげんなりとした。


 思ったことを口にしたフィーナに、マサトは苦笑した。


『それがそうでもないんだ。

 魔法がない代わりに、人の技術が発展してるから、向こうの方が格段に便利だ。

 火も魔力なしでも起こせるし、同じ火加減を持続させることだって可能だ。

 明かりも魔法を使えなくてもあるし、誰でも簡単に使っている。

 日が落ちても、街――村中、明るいところだってある。

 家の中の明かりだけじゃなく、外にもついてるから』


「え? どうして明かりを家の外につける必要があるの?」


『人が歩く道を照らすために』


「夜、外に出て歩くの?」


 その行為自体、フィーナには信じがたい。


 夜は街道を歩いてはならない。


 村や町の門扉も締まるし、野宿するなら決めた場所から離れないのが鉄則だ。


『根底から違うんだよなぁ……』


 ため息を落としつつ、マサトは付け加えた。


『客の目を引くようにってのもある。

 日が沈んでも、店は空いてるからな。

 昼も夜も。店が閉まることなく、ずっと開店している店ってのもあるんだ』


「え? ええ?

 夜も店を開けるって――。

 どうして? わけわかんない」


 混乱を見せるフィーナに、マサトはどう説明すれば伝わるか、考えあぐねいていた。


 わからなくても仕方ない。


 前世の世界がどういったものか、わからなくても――本当の意味で理解してくれなくても。


 自分がどうした存在なのかは、理解して欲しかった。


 考えあぐねいていたマサトだったが、ふと思い至って、フィーナに声をかけた。


『目を閉じてくれ。

 意識下で話すように、思ってる映像を送ってみるから』


「エイゾウ……?」


『とにかく、目を閉じろ』


 急かされて、フィーナは言われるまま目を閉じた。


 意識下で話をする時のように身構えていたのだが――送られてきたのは、多大な情報量を含んだ動く風景だった。




マサトの過去に関してです。

異世界。

説明に苦慮してます。

この辺りが、マサト主体の話にできなかった理由でもあります。

異世界での過去の話。もう少し続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ