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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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16.密談【カイルの懸念 5】


 これから話があると思ったのだが、マサトは確認事項を告げてくる。


『俺たちの疑いが晴れれば、今後、王族の庇護下に置かれると思っていいんだな?』


「そこは約束する。

 カイル・ウォルチェスターの名に置いて、二人を保護する」


『判断は話を聞いてからでいい。

 疑いが晴れても、厄介な存在になるかもしれないし』


 含みを持った発言に、カイルは一瞬、ひるみそうになったが、了承の意を告げた。


「なんでそんな、大変そうな話になるの?」


 一人、会話についていけないフィーナが戸惑いをにじませている。


 そのフィーナをマサトがつと見て、カイルに告げた。


『話はするが、日を改めてくれないか? 同席する者を他にも呼びたいんだが』


「たとえば?」


 警戒気味に尋ねるカイルに、マサトは続けた。


『王女様、フィーナの姉ちゃん、ディルク……まあ、そういった面々だ。俺が名前を上げるから、口が軽そうな奴がいたら、そちらで判断してはじいてくれ。

 話は今回のように、極秘裏に頼む。

 あとザイルも呼ばないとな。後で知ったら、うるさそうだから』


「ザイル? ザイルも、事情を知っているのか?」


 カイルに聞かれて、マサトは『まずった』とバツの悪そうな表情を浮かべたが『いろいろと疑われてる節があったんだよ』とごまかした。


 嘘ではない。話す事実等、いくらか事情を話しているが、詳しい話はまだしていない。


『フィーナには先に話しておきたいんだ』


「え?」


 急に話を振られて、フィーナはきょとんと眼を瞬いた。


「そうなの?」


 よくわからない表情を浮かべていたが、了承した。


 二人の様子を見て、カイルは「もしや」と思っていた疑念の確証を得る。


 あまりに情報を知らないフィーナ。


 マサトは――フィーナの伴魂は、自身の主に話していない部分が多いのではないのかと。


 フィーナ自身、無頓着な部分があるので、普通なら不思議に思うところも「そういったものだから」と受け止めていたのではないか。


 フィーナの性格から、カイルはそう考えていたのだが、実際、その通りのようだった。


 最後に、マサトはカイルに念押しした。


『フィーナが身をていして庇ったのだけは、疑わないでくれよ」


「わかっている」


 答えるカイルを見て、マサトは小さく息をついた。


『あの時は俺も肝が冷えたんだ。終わったと思ったからな。

 まさか硬盾デュスク使う機転きかすとは思わなかった』


「あれって、そんなに無茶なことだった?」


『無茶も無茶。大無茶だよ』


「大無茶って――。でもその割には、鬼のように魔法唱えさせてたよね?」


『やっとかなければ、意味なかったからな。

 簡単に解けない捕縛かけとかないと、逆にやばかったんだよ』


「おかげでこっちは、しばらくつらかったんだけど……」


 と、フィーナは口をとがらせていた。


 話はそこで終了となり、後日、詳しい日程、招集をかける人物等、調整することとなったのであった。




密談はひとまず終了です。

カイルも、自分の気持ちの変化に少し気付いた――ってかんじです。

伴魂の過去の話。

少しずつ触れていきます。

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