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猫と月の夜想曲~猫に転生した異世界転生者は脇役です~  作者: 高月 すい
第四章 人語を介す伴魂
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11.校外学習 その後の顛末【オリビアの騎士団事情 6】


 オリビアの返事を聞いたマサトは、カイルに目くばせをした。


 カイルは向けられた視線の意味がわからなかったが、とりあえず、発言、行動を、反射的に行わないように注意した。


 結果、それがマサトが望んだ行為となっていた。


『これも推測で悪いが――おそらくその偽ニック、この国の者じゃないぞ』


「……え?」


 オリビアは驚いた表情をのぞかせた。


 初めて耳にした情報であり、かつ、想定すらしていなかった情報なのだろう。


「なぜ、そう思うの」


 あえぐように尋ねるオリビアに、マサトは嘆息を交えて続けた。


『使ってた魔法が違った。カイル殿下もフィーナも聞いただろ?』


「単に、二人が知らない魔法だったのでは――」


『魔法にも種類があるのは知っている。

 が、唱える前詞アンセル、その後の呪文ルキまでの行程同じだろ。

 前詞アンセルを唱える、唱えないにしてもだ。

 奴らが口にした呪文ルキは、ここでは聞かないものだった』


「それだけで――他国の者だったのではとわかるの?」


『実際、直に聞いてみればわかるよ。言葉では説明しづらい、感覚的なものだから。

 ――正直、このことは言うつもりなかったんだ。

 はっきりしていないことが多いからな。いずれは話すつもりだったが、もっといろいろ調べてから話そうと思ってた。

 けど王女様の警護の質を問われるんだったら、偽ニックが他国の者である可能性を言えば、「だったら仕方ない」とかになるんじゃねーの?

 まずを持ってだ。危険な輩が国内に入っている事自体――ってか、そっちの方が問題だろ? 国の防衛はどうなっているのか、他国籍の襲撃者など想定していない、対処は難しかった。

 ――ってな感じで、責任転嫁する方法もあるが?』


 それには、フィーナが使用した魔法も、この国の魔法からは異質であることを口にしない必要があるが。


 窮地でのフィーナと伴魂が使用した魔法を、唯一、間近で見ているカイルに『余計なこと言うな』と釘をさして告げた伴魂の言葉に、オリビアは身を乗り出した。身を乗り出して、カイルとフィーナに「本当なの?」と尋ねてくる。


 二人は頷いてマサトの言ったことに同意した。


「――確かに。そうすれば論点をぼかせるわ」


 そうオリビアはつぶやく。しかし思慮をめぐらせた後、目を閉じて小さく息をついた。


「――その件は、今回は口外しないようにしましょう。

 憶測の域にしても、何の確証もなく、軽々しく口にしていい事ではないから」


『それもそうだな。俺としても、手札として使えればと思っただけだ』


「情報としては、ありがたい限りよ」


 今回の話は、そこで終了した。


 順次、席を退席していく中、カイルがフィーナに声をかけた。


「話がある」


 緊張を帯びた視線は、フィーナと、彼女の白い伴魂、マサトに向けられてる。


 鈍いフィーナにも、カイルが何を聞きたいか、察しはついていた。


 その件に関しては、全てマサトの判断次第だ。


 フィーナは困り顔で、腕に抱きかかえる自身の伴魂に視線を向けた。


 白い伴魂、マサトにも、カイルが何を思っているのか、わかったのだろう。


 しばし考えた後、小さく息をついた。


『わかった』


 そう、了承の答えを出したのだった。




今回は少し短い更新です。

きりのいい所まで。だったので。

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