4.校外学習 その後の顛末 2
「カイルは――話を聞いてから、判断してもらって構わないわ。
あなたも無関係ではないことだから。
だけど……私と同じ結論に至ると、信じてるから」
オリビアの人となりを説明すると言われたら。
「常識ある破天荒」
「節度あるじゃじゃ馬」
姉であるオリビアを、カイルはそのように表現する。
王女とは思えない行動をとりながらも、越えてはならない一線はきちんと守っているし、王族としての威厳も風格も持ち合わせている。
カイルはオリビアを、姉として尊敬していた。
王族として、手本としていた。
その姉が、カイルに対してそのように言わしめたのを受けて、考えを改めた。
単に事を荒げたくないから、沈黙を保とうとしているのだと思ったのだが――それだけではないのでは。
そう思えた。
カイルはオリビアに促されて、席に戻った。
カイルが席に戻ったのを確認して、オリビアは話を続けた。
「この面々で顔を合わせる機会を設けたのは、先のアールストーン校外学習での騒動に関する確認事項、情報共有、口外すべき内容、すべきで内容を互いに確認し合うためでもあります。
それらを念頭に置いて発言するように」
オリビアの発言を受けて、同席した面々は了承の意味を込めて頷いた。
オリビアは傍らに立つアルフィードとディルク、扉の前に立つアレックスとレオロードも同意の素振りを見せたのを確認して、つと、フィーナに目を向けた。
フィーナの膝の上には、白い伴魂が座っている。
この席の何人かは伴魂を同席させていた。
それがオリビアから召集があった時の指示でもあった。
現在、フィーナは膝の上に、オリビア、カイル、ディルクはそれぞれ自身の鳥の伴魂を鳥籠に入れて、側に置いている。
アルフィードの伴魂は主の肩にとまっていた。
後で聞いた話によると、前者三名の鳥の伴魂は鳥籠を自室として好み、アルフィードの伴魂は鳥籠を嫌い、一所に留まるならアルフィードの側を好んでいるのだそうだ。
オリビアの視線を受けて、白い伴魂は一つ息をつくと、軽い身のこなしでテーブルの上に上った。
『まずは俺のことからだろ』
人語を発した白い伴魂を見て、ゼファーソンとリーサスが驚きに身を強張らせ、反射的に立ちあがらんばかりの行動を見せた。
二人の行為を事前に想定していたのだろう。
行動に移す前にオリビアが素早く「席から離れないように」と忠告する。
この来客室では、オリビアが最も権力を持つ存在だ。
反射的にとった行動も、オリビアの制止を受けて、二人ともきちんと従った。
――一人は防犯的に、一人は己の興味の赴くままと、起こした行動の根点は異なっていたが。
ゼファーソンとリーサスが大人しく席に座るのを確認して、オリビアは改めてフィーナの白い伴魂と向かい合った。
「話には聞いていたけれど……本当に話すのね」
校外学習時の騒動時、白い伴魂が休憩所でごく限られた者の前で人語を操る際、オリビアとアルフィードは別室で休んでいた。
そのため、白い伴魂が人語を介すると後で人伝えに聞き、実際、対面してその様子を直に見たいと打診しても、騒動の後始末に時間を割かれ、今日まで敵わなったのだ。
アルフィードもオリビアから、白い伴魂に関して聞いていたのだろう。
白い伴魂が人語を口にしても、誰の目にも明らかに驚きはしなかったが、見張った目が驚きを伝えて来る。
すみません。
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